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「事業構造改革は完遂したと認識している」。2015年度の事業方針説明会の席上で、そう宣言したパナソニックの津賀一宏社長に、笑顔はほとんど見られなかった。
パナソニックは、ソニーやシャープなど他の電機大手が赤字に沈む状況を尻目に、15年度を最終年度とする中期経営計画で示した連結営業利益3500億円以上、累計フリーキャッシュフロー(純現金収支)6000億円以上といった「公約」を、1年前倒しで達成する見込みだ。
自ら課した高いハードルを早々と乗り越えてみせてもなお、淡々とした口調で足元の状況を話す姿には、再成長へ向けた意気込みだけでなく、一部で積み残した「宿題」への歯がゆさもにじむ。
宿題とは、売上高が3000億円以上ある大規模事業部の中で、「必達」を求めた営業利益率5%が達成できていない、6つの事業のことだ。
6事業の営業利益率は一部しか公開されていないが、低い方から並べると、車載用情報機器の「インフォテインメント」、「エアコン」、住宅の「パナホーム」、住宅設備の「ハウジングシステム」、リチウムイオンなどの「二次電池」、照明の「ライティング」の順とみられる。
受注から実際の売り上げ計上までに、数年のタイムラグがあるインフォ事業を除くと、津賀社長が中でも最も歯がゆさを感じ「(収益性の)改善にこだわりたい」と語る対象は、エアコン事業だろう。
13年度は、大消費地・中国での在庫拡大などで105億円の営業赤字。14年度は黒字転換したものの、直近の第3四半期までの累計では営業利益率が3.1%にとどまっている。