『週刊ダイヤモンド』2015年5月16日号の特集は「格安スマホ 最強理由」。特集では、アップルを追い抜かんばかりに急成長を続ける、中国の格安スマホメーカー「小米(シャオミ)」の端末を購入し専門家に依頼して分解、強さの秘訣を詳細なイラストとともに紹介した。ここでは、その一部を抜粋してお伝えする。

 軽やかな音楽が流れる中、そろいの白いシャツを着た開発者のインタビュービデオと、スタイリッシュな老若男女がスマホを手にレジャーに興じる映像が、代わる代わる映し出される。ボタンダウンシャツ姿の雷軍・小米科技(シャオミ)CEOがさっそうとステージに登場し、新製品を高く掲げる。満場の観衆が声援でそれに応える──。

 スマホに関心のある人なら、どこかで見たことがあるシーンだろう。CEOのファッション、立ち居振る舞い、製品に至るまで、全てアップルそっくり。これが現在、中国で本家アップルとスマホシェアで1位の座を争う小米だ。

 知的所有権侵害の疑いで数カ国で輸入が禁止されている小米のスマホは、現時点で日本上陸の予定はない。だが、大手MVNO(仮想移動体通信事業者)事業者数社がすでに小米に接触を図っており、将来、日本で格安スマホの台風の目となる可能性もある。

 この小米が、本家と大きく違うのは販売価格である。例えば、小米の高級機種であるMi4が日本円換算で3万円台前半なのに対し、iPhone6は9万円弱。小米の廉価機種、Redmi(紅米)2に至っては約1万3000円にとどまる。

前代未聞の完全分解!これが“中国のiPhone”の最安端末
分解・グラフィックデザイン:大島篤

 この価格差はどこから生まれるのか。そこで週刊ダイヤモンド編集部は、分解解析サービスのフォーマルハウト・テクノソリューションズの協力を得て、紅米2とiPhone6を分解し、内部を徹底比較した。原価はあくまでも推定値であることをお断りしておく。

 まず注目したのは筐体だ。実は iPhone6の部品の中で、最も原価が高いのは「ケース加工費」。アルミの部材費は大量生産の効果でほぼゼロになるが、側面を湾曲させる切削加工には1台1時間以上かかり、加工費用はおよそ5000円もする。一方、紅米2はプラスチック成形と塗装で230円しか掛かっておらず、その差は歴然としている──。