厚生労働省が睡眠に関する指針をわざわざ打ち出しているのも、こうした背景があってのことだろう。だがこの指針に限らず、「良い睡眠」に向けての対処法の多くは「規則正しい生活」「日光を浴びる」「適度の運動」「寝る前にリラックス」「ストレスを解消する」などで、あまりに耳タコである。助言を受け入れ生活を見直す価値はあるが、そもそも時間の足りない人やストレスフルな生活を送っている人からは「できるならとっくにそうしているって」という声が聞こえてきそうだ。

 では十分な睡眠時間が確保できない、朝起きるのが苦痛といった問題を抱えている場合、個人レベルでできることは他にないのだろうか。現在の生活(≒仕事や働き方)を変えるのは簡単ではないが、耳タコのアドバイスのひとつ「医師などの専門家に相談する」は有効かもしれない。医者にかかるほどではない、クスリに抵抗があるなどの理由でこの選択肢をあらかじめ避けている人も多いはず。「医者にかかるほどではない」と言える今こそ、専門家のアドバイスを聞く時機かもしれない。

 睡眠時間が世界最短レベルの日本では、幸福度も先進国中最下位だ。「なぜ眠れないか(眠らないか)」を考えれば納得できてしまう。日本人の幸福観は他の先進国と異なる、睡眠やストレスの問題は先進国が共通に抱えるものである、などとどれだけ割り引いて考えても、「日光を浴びること」「リラックスすること」などのアドバイスが国民レベルで必要な状況を、“幸福”とは呼びにくい。

(工藤 渉/5時から作家塾(R))

参考URL:

定刻起床装置やすらぎ 個人簡易型
http://www.shinko-inc.net/product.html

健康づくりのための睡眠指針(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000042749.html