自動起床装置が売れている。もともと鉄道関係や消防関係など時間厳守でシフト有の仕事で、仮眠室や寮などで使われる限定的なツールだったのが、いまや市販されているのだ。仕組みはシンプルで、ふとんの下に仕込んだ空気袋に時間がくると送風が始まり、スイッチを切るまで膨張と収縮を繰り返すというものだ。

 10万円前後の商品だが「目覚まし時計に比べうるさくない」「確実に起きられる」の2点で人気を集めているようだ。一般家庭でも目覚まし時計で他の家族を起こしたくない(起こされたくない)事情があるのなら購入を検討してもいいかもしれない。そうではなく「睡眠不足で装置に頼らないと起きられない」が購入動機なら話は変わってくる。いや装置の購入はいいのだが、他に考えることがあるだろう。

日本人の平均睡眠時間は50分も短縮
損失は3兆5000億円にも

日本人の睡眠時間が年々減少している深刻な理由睡眠不足のせいで、日中睡魔に襲われていないだろうか?
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 日本人の睡眠時間は世界的にみても短く、国民の平均睡眠時間は1960年から2005年までの45年間で約50分短縮している。幼児から壮年期を通じて就床時刻が次第に遅くなり、国民生活の夜型化が進んでいるという報告もある。

 睡眠不足でも日常生活に支障がないなら問題はない。しかし実際のところ支障だらけであり、日本全体で睡眠不足からくる生産性の低下が3兆円、欠勤、遅刻、早退、睡眠不足に関連する交通事故やその他ヒューマンエラーの損失を合計すると3兆5000億円に上るという調査結果があるほどだ。そして、この数字には医療費は含まれていない。