>>(上)より続く
「アンタがどうなっても知ったこっちゃない!借金をしてでも耳を揃えて全額払ってもらうから!!」
万が一、直美さんの言う通りに、剛さんが銀行やクレジット会社等で借入をした場合、大変なことになります。
なぜなら結局、家計収支が赤字のままでは、借金を返済するお金がないので、前月の借金を返済するために今月、また借金をする…という自転車操業に陥り、借金はどんどん膨らむばかりで、いずれ剛さんが経済的に破綻するのは目に見えているからです。
このままでは本当に取り返しのつかない事態になりかねないので、一刻も早く手を打たなければなりません。しかし、いくら赤字を補填する方法を探し当てても、あまり意味がありません。もっと根本的なところ、つまり家計収支の赤字を解消する方法を探さなければなりません。
しかし前述の通り、収入の増加や支出の減少が難しいとなると、直美さんは納得がいかないかもしれませんが、美咲さん、美月さんの養育費を見直す以外に方法はないのです。
現在の剛さんは、自分の収入だけで養育費を満額支払うことは困難なのだから、養育費の見直しは避けて通れません。直美さんにはそう念押ししたのですが、それでも直美さんは現実を直視せず、過去のイザコザを蒸し返してきたそうです。
「だまされた!アンタが養育費をちゃんと払うって言うから、渋々、離婚届に判を押したのに。養育費を途中で減らされるって分かっていたら、離婚してあげなかったんだからね!もう、どうしてくれるのよ!!」
当時の剛さんが、離婚を渋る直美さんを説得すべく「養育費は妻直美の言い値を約束するから、その代わりに離婚してほしい」と軽口を叩いたかどうかは今となっては定かではありませんが、今さら「言った、言わない」をめぐって押し問答をしても、ますます出口は見えなくなります。