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口座を起点に多様な機能を提供
流通小売企業などの銀行ライセンス非保有企業が提供するサービス内に溶け込む「組み込み型口座」。個人や企業は、普段利用しているサービスのアプリを開けば、シームレスな支払い、送金、資金管理が可能となる。金融サービスを利用するために別アプリを立ち上げる必要はなく、サービス利用から金融取引までが一気通貫で行える。
組み込み型口座の代表事例として、オンライン決済のパイオニアである米PayPal(ペイパル)が挙げられる。同社の「PayPal Balance」は、ウォレット口座としてEC決済や個人間(PtoP)送金のハブとなっている。これらのサービスはペイパル自身ではなく、米ゴールドマン・サックスや米ウェルズ・ファーゴといった複数の銀行のライセンスに基づいて提供されている。
特筆すべきは、売上金の着金口座としての役割にとどまらない点だ。ペイパルはこれまで、世界で42万超の中小企業に累計300億ドル以上の融資を提供してきた。ビジネスアカウントに蓄積された売上げデータを活用した与信は、中小企業の資金繰りを支える重要な金融機能となっている。これは、同社が組み込み型口座を通じて加盟店の成長を支える総合的な金融サービス提供者へと進化していることの証左でもある。
また、決済事業者の米Block(ブロック、旧スクエア)は個人向けサービス「Cash App」において、組み込み型口座を提供している。裏側で銀行ライセンスに基づいて機能提供しているのが米国のサットンバンクだ。もともとは友人間の送金などシンプルなPtoP送金アプリとして始まったが、今や多様な機能が実装されている。
例えば、アプリと連動するデビットカードや、給与を直接受け取れる機能がある。これによりユーザーは伝統的な銀行口座を介さずに、アプリ上の口座一つで支払いから資産管理まで行うことができる。さらに、アプリ内で株式やビットコインの売買が1ドルからできる機能をシームレスに統合。金融知識が豊富でないユーザーも気軽に資産形成を始められるUX(ユーザー体験)を構築した。こうした取り組みは、多くのユーザーに金融体験の「入り口」を提供している好事例といえる。







