オープンAIとアンソロピックの確執 AIの未来をゆがめる可能性ダリオ・アモデイ氏(左)とサム・アルトマン氏
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 サム・アルトマン氏とダリオ・アモデイ氏が最後に一緒にステージに立った際、他のテクノロジー企業のリーダーたちがインドのナレンドラ・モディ首相との集合写真で手を握り合い高く掲げるなか、2人はぎこちなく身体的な接触を避けようとしていた。

 まるで遊び場でふくれっ面をしている子供のようで、人工知能(AI)業界で最も注目を集めるオープンAIとアンソロピックの最高経営責任者(CEO)同士には見えなかった。この奇妙な光景は両社の激化するライバル関係の顕在化だと多くの人は受け止めた。両社とも年内の上場を目指しており、ユーザー、人材、投資家の資金を巡って競い合っている。

 この小競り合いは数週間前のことだ。その後、両氏と両社が米国防総省との相反する取引において道徳的優位性を主張しようとするにつれ、対立は激しさを増している。

 米国のビジネス界、特にシリコンバレーは、野心、強欲、嫉妬に駆られた古典的な確執であふれている。故スティーブ・ジョブズ氏対ビル・ゲイツ氏、アップル対サムスン電子、ウーバー・テクノロジーズ対リフトなどだ。そしてイーロン・マスク氏に対してはジェフ・ベゾス氏、マーク・ザッカーバーグ氏、さらにはアルトマン氏、まあ「全員」という構図もある。

 こうした激しいライバル関係は、長期的には消費者にとって良いことだと言えるかもしれない。互いにイノベーション、価格、競争で相手を上回ろうとするからだ。しかしオープンAIとアンソロピックの確執は、まだ生まれたばかりのAI技術の運命がごく少数の有力企業の手に委ねられてしまうという独特のリスクをはらんでいる。