「あれも大事、これも大事」と悩むのではなく、「何が本質なのか?」を考え抜く。そして、本当に大切な1%に100%集中する。シンプルに考えなければ、何も成し遂げることはできない――。LINE(株)CEO退任後、ゼロから新事業「C CHANNEL」を立ち上げた森川亮氏は、何を考え、何をしてきたのか?本連載では、待望の初著作『シンプルに考える』(ダイヤモンド社)から、森川氏の仕事術のエッセンスをご紹介します。

しんどさを引き受けて、淡々と日々の仕事に向き合う

 

「仕事を楽しもう!」
 そんな言葉を耳にすることがあります。

 しかし、僕はあまり共感できません。もちろん、仕事は面白い。面白いから打ち込むことができる。しかし、「仕事を楽しもう!」という言葉がもつニュアンスと、僕の感覚はずいぶんと違います。なぜなら、仕事は厳しいものだからです。

 生半可な姿勢では、ユーザーに喜んでもらうことなどできるはずがありません。ユーザーのニーズからわずかでもズレないように、神経を研ぎ澄まさなければなりませんし、クオリティの高いプロダクトを生み出すためには、身を削るような努力も必要です。しかも、失敗は許されません。心理的にも肉体的にも強いストレスにさらされるのが、仕事というものです。仕事は、しんどくて当たり前なのです。

 むしろ、そのしんどさを引き受けて、淡々と日々の仕事に向き合っていく。そして、その苦しい過程を経て、結果が出たときの「幸せ」の感覚を体感しているのが、本物のプロフェショナルではないかと思うのです。

 僕はこれまで何度も「幸せ」な瞬間を経験することができました。よく思い出すのは、ハンゲーム・ジャパン株式会社に入ってまだ日も浅いころのことです。