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ATD-X心神は将来へのステップ
軍事技術の国際共同開発は必須

──日本の潜水艦の能力は高いと言われますが、島嶼防衛にも使えますか。


通常型潜水艦では世界トップレベルの性能を誇る「そうりゅう型」 Photo:JMSD 拡大画像表示

 一つには情報収集ですね。ドローンは有用ですが、敵に発見されて墜とされることも覚悟しなければならない。その点、潜水艦だと、島の近くから潜望鏡で様子をうかがうとか、無線を傍受するといったことができる。もう一つは、島の周りを封鎖して敵の船が近寄れないようにする。潜水艦がいるかもしれない、となるとかなり艦隊の動きが制約されますし、対潜警戒のための船も配置しなければならないので作戦コストも増えます。

──その面では優位ということですね。

 特に海自の潜水艦は、乗組員の技量も高いという定評があります。他方、中国海軍は対潜能力は高くはない。

──国産ステルス機の「ATD-X」(心神)も注目されていますね。そうした技術を持っていることは、アメリカとの共同開発などにおいて交渉材料になるのではないかと思います。

先進技術実証機ATD-X、通称「心神」
Photo:防衛省技術研究本部
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 ATD-Xはあくまで技術実証機で、機体もエンジン推力も小さいので、あれがそのまま実用戦闘機になるわけではありません。

 またアメリカの航空メーカーの人に言わせると、ステルスは過渡的技術だということです。いずれステルスを破る技術は出てくる。次期主力戦闘機の座をロッキード・マーティン社のステルス戦闘機「F-22」「F-35」にすっかりさらわれた、ボーイング社が言っていたことなので、負け惜しみを含んでいるのでしょうけれども、ボーイング社も先進技術研究ではどこにも引けは取らない会社ですから、ステルスが過渡的なものだというのは傾聴に値すると思いますよ。

 しかし、日本はこれだけの技術を持っている──ステルス機もやってみた、高機動性技術もある、あるいはMIMOもある──となれば、アメリカも日本と組もう、ということになるでしょう。日本が将来、国産戦闘機を作ろうとするなら、国際共同開発になるでしょうが、開発計画に対する発言力も増します。ATD-Xの研究開発は、国産戦闘機に直結するわけではありませんが、そこに至るための大事なステップです。

 これまで日本の軍事技術は、ガラパゴス化の最たるものだったわけですけれども、これからの兵器開発はガラパゴス化が許されないくらい高コストになっていますから、外国と組まなければもたない。日本に限らず他国、アメリカですらそうです。日本からの輸出も、オーストラリアへの潜水艦や、インドへの飛行艇の話が進んでいますし、イギリスとミサイル、ドイツと戦車の共同研究といった話も出ています。アメリカに加えて、そうした技術面での協力のレールが何本も増えることによって、いざというときに日本の肩を持ってくれる国が増える、という面もあります。