急成長するITベンチャーの
CEOとCFOがそれぞれ果たすべき役割
齋藤和紀 Kii株式会社管理本部長

リスクを取らないベンチャーはあり得ない
許容度の正確な把握こそCFOの役目

 いわゆるITベンチャーは、トップなりの専門性や着想に基づいて新たなサービスや商品のビジネス化を目指す存在ですが、最も悩ましいのは、運営資金などのお金を見ているとどうしても不安になり、夢の追求に専念できなくなることです。極端な言い方をすれば、ITベンチャーのトップはお金のことなどまったく考えずに自身の夢を追求し、成長することだけに専念すればよい。そうした環境を実現、提供してあげるのがCFOの役割だと思います。

 邦銀系のベンチャーキャピタルなどは短期的な売上目標ばかりを問いますが、シリコンバレーでは「ストーリー・テリング」の説得性や納得感こそが問われます。トップは夢の確かさを語り、そしてその夢がどのような資金によって実現できるのかを説明するのがCFOの役割になっています。

――とは言え、CFO自身が“金の成る木”ではないのですから、トップは現実的には夢ばかりを語っている訳にはいかないのではありませんか。

 その通りです。だからこそCFOは、ミッションの中身、そのライフサイクル、そしてリスクを、ある意味でトップ以上に理解しておかなければなりません。特に生まれたての会社がどれだけのリスク許容度を持っているのか、それはミッションの実現可能性などから判断されるものですが、リスク許容度を厳密に理解して管理し、CFOみずからもリスクを取りに行くことで資金を調達します。そうしたリスクの見極めがあるからこそ、投資家に対しても夢の実現性を具体的に語ることができるのです。

 世界には、管理部門がめっぽう強い権限を持っている企業がたくさんあります。事業の成長性とか収益性など関係なしに、ひたすらに強い。「だからこそ従業員は安心して働ける」という理屈ですが、ベンチャーのCFOがそうしたあり方を追求すると成長が阻害されてしまい、企業としての勢いを削いでしまうことになりかねません。