経営×ソーシャル
IT&ビジネス 業界ウォッチ
【第92回】 2015年7月13日
著者・コラム紹介 バックナンバー
佐々木裕彦 [ネットイヤーグループ取締役 オムニチャネルクラウド事業部長]

企業のメッセージが消費者にまったく届かない時代
「デジタルマーケティング」で何ができるのか

――特別寄稿 セールスフォース・ドットコム「コネクションズ2015」報告

 テーマの通り、「御社はどうやってお客さまとつながりますか?」 もしくは、「御社はどうやって、つながっているお客さまたちと向き合っていきますか?」という質問に対して、終始議論が交わされていた。ここでいう“Connected customers(つながっている顧客)”というのは、24時間365日、四六時中ネットワークにつながっている状態の顧客のことであり、これからの重要な経営戦略キーワードだ。全ての企業は「つながっている顧客」と常に向き合っていかなければならないということが、このイベントに参加している企業の共通認識となっていた。

「デジタルマーケティング」とはなにか

 イベントの紹介に入って行く前に、そもそもデジタルマーケティングという言葉と、マーケティング業界の潮流を簡単に共有しておこう。

 まずデジタルマーケティングというのは、正確に言うと「デジタル時代に求められるマーケティング」のことであり、インターネットだけで完結するような、いわゆる「ネットマーケティング」「Webマーケティング」とは全く異なる。

 デジタルマーケティングには、店頭や営業マンも、テレビに代表されるマス広告でさえ含まれるのだ。全ての顧客接点において、ビッグデータ、モバイル、ソーシャルなどの最新のデジタル技術を駆使して、顧客との新しい付き合い方を見つけ出すのがデジタルマーケティングだ。

企業のメッセージは
全く届いていない

 では、なぜ企業の成長にデジタルマーケティングが必要になっているのか。

 その最大の理由は、消費者の購買行動、情報消費行動、コミュニケーション方法が、インターネットによって激変したからだ。特にスマホとソーシャルの登場によって、その変化は加速した。先述の通り、いま消費者は、24時間365日、手元を通して世界中とつながることができる。

 もっと言えば、今後全ての人類とデバイスは何らか固有のアドレスを持ち、追跡可能な状態になる。同時に、世の中に流通している情報量が爆発的に増加している点も重要なポイントだ。世の中に流通している情報のうち、消費者が消費できている情報は砂浜の砂粒ほどもないと言われている。つまり、企業のメッセージはまったく届いていないのだ。

 このような市場の変化が進む中、企業は、常につながっている状態の顧客に対して、その人が興味を持つ関連性の高い情報だけを、必要な時にだけ提供し、関係を維持し続けなければいけないのだ。この大きな課題を解決しようとするのがデジタルマーケティングだ。

 Connectionsは、セールスフォース・ドットコムの製品プロモーションイベントではあるが、本質的にはデジタルマーケティングにまつわるさまざまなヒントを世界中の事例から得ることができ、マーケティングに携わる者にとってはとても刺激を受けるイベントなのである。

関連記事

佐々木裕彦 [ネットイヤーグループ取締役 オムニチャネルクラウド事業部長]

ネットイヤーグループの創業メンバー。近年、大手小売グループのオムニチャネルプロジェクトに参画して以来、企業戦略としてのオムニチャネルの構想策定から実現までに注力。創業からSIPS(Strategic Internet Professional Services)という戦略的にインターネットを活用するためのコンサルティング事業のコンセプトを生み出す。1994年に米国大手広告代理店McCann Erickson社のインタラクティブ部門に参画して以来、デジタルマーケティング、ネットビジネス分野での経験は長い。経営戦略、ブランディング、ユーザーエクスペリエンスデザイン、CRM、Web、ソーシャル、EC、テクノロジー、データ分析まで、デジタルマーケティングに必要な広範囲なナレッジを持ち、多くの大手企業のデジタルマーケティング戦略、Web戦略、デジタル新規事業開発などを支援する。日経BPなどへの寄稿、セミナー実績多数。ニューヨーク市立大学MBA修了。学習院大学法学部卒業。投稿記事「オムニチャネルの世界」


IT&ビジネス 業界ウォッチ

IT業界で話題の新サービス・新製品のニュース、これから話題になりそうな新ツール、知っておきたい各種の統計調査……などなど、経営効率化に寄与するIT業界の今のうごきをレポートします。

「IT&ビジネス 業界ウォッチ」

⇒バックナンバー一覧