クリエイティブソフトのベンダーとして知られるアドビ システムズ(以下、アドビ)は、デジタルマーケティング分野でもソリューションを提供し、業界内で非常に大きな存在感を示している。9月18日、19日に開催された「ad:tech tokyo 2013」において基調講演を行った米アドビのマーケティング製品担当ディレクター、ビル・ムンゴバン氏に、デジタルマーケティングの最新動向や統合ソリューション製品を展開する同社の強みについて話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 魚谷武志、構成/平行男) 

ソーシャル、サーチ、ディスプレイ
3つの分野で大きな変化

――デジタルマーケティング業界の最近のトレンドについてお聞かせ下さい。

Billy Mungovan
アドビ システムズ広告ソリューション分野製品戦略担当ディレクター。米国での13年以上のキャリアでは有料サーチビジネス戦略立案、プランニング、実行とサーチマーケティングにおいて幅広い経験と知識をもつ。2009年にOmnitureの統合によりアドビに入社。
Photo:DOL

 3つの分野で大きな変化が起きています。1つ目は「ソーシャル」。さまざまなソーシャルメディアが、より多くの広告費を支払ってもらえるような仕組みの構築を急速に進めています。たとえばFacebookでは、「スポンサードストーリー」の提供を始めました。あるユーザーが特定の企業やブランドについての対話を投稿したとき、その対話を企業が広告として別のユーザーグループに向けて発信できるという仕組みです。ユーザーの発言と広告の融合が進んでいます。

 2つ目が「サーチ」、検索広告分野での変化です。ヤフーやグーグルが、1つのキャンペーンで、PC、スマートフォン、タブレットへ同時に広告配信できるサービスの提供を始めました。企業にとってマルチデバイスに向けた広告戦略の必要性が高まっているということです。またグーグルでは、ある商品を検索した結果表示される、商品の画像・名称・価格・企業名などの「商品リスト広告(PLA)」を有償化しました。これにより広告主は従来とは別枠で予算を取らなくてはならなくなりました。

 3つ目が「ディスプレイ」、つまりバナー広告の変化です。従来は広告を出したい企業が広告枠を購入し、インプレッションに応じて支払いをするという仕組みでした。最近ではバナー広告を出稿する際に、特定の訪問者に対して広告を配信するか否か、どれくらいの値付けをするかなどを広告主がリアルタイムで調整できるような新しい仕組みが整いつつあります。

 アドビが提供するマーケティングソリューション「Adobe Marketing Cloud」はウェブ分析や広告、ターゲティング、ソーシャルなど6つのソリューションからなり、これらのような新しいタイプの広告にも対応しています。