機関投資家の反応も
チャンスを生んでくれる

 実は、東芝の場合、考慮に入れておきたい「楽しみ」の要素がもう一つある。それは、機関投資家の反応だ。

 今回の東芝の「不適切会計」が、企業のガバナンスとしてよろしくない状態であることは、誰しも認めるところだろう。

 では、スチュワードシップ・コード、コーポレートガバナンス・コードが公表され、投資家の企業統治への関与が強調される今日、年金基金等の投資家は、東芝株にどう対処するのがいいだろうか。あるいは、年金基金を顧客とする運用会社は、ポートフォリオの中に持ってしまっていた東芝株について、顧客にどう説明するのがいいだろうか。

 また、JPX日経400のようなコーポレート・ガバナンスの良し悪しを評価するという触れ込みの株価指数や、SRI(社会的責任投資)を標榜する運用資金では、東芝株をどう扱ったらいいのだろうか。

 個々に判断や考え方があるだろうから、あえてどうしろとは書かないが、東芝の株価が安いとしても、それでもポートフォリオから東芝を外すという判断を持つ投資家がいる可能性がある。あの東芝の株を持っていては顔が立たない、という人たちが存在するのだ。

 彼らの行動は、株価の高低と株式の価値を比較して決定されるのではない。彼らは、「売る」と決まれば、株価に関係なく株式を売却する。こうした情報判断に基づかない売買は、「株価のファンダメンタルズからの乖離」すなわちチャンスをしばしば生んでくれる。これは、SRI(社会的責任投資)と称する運用方法が、純粋な投資としてダメであることの理由と近い。

 面子にこだらなくていい投資家は、こうした資金の動きによって生じる「買いチャンス!」を待って、ありがたく「偉い投資家」をカモにすればいい。

 もっとも、「チャンスだ!」と思った株価が、実はチャンスでも何でもないことはよくあることだ。その場合には誰も助けてはくれないので、投資家は、せいぜいよく考えることだ。当然ながら、全ての賭けは自己責任で行う必要がある。