中国・上海の南京路にあるアップル旗艦店隣の屋外スクリーンに、Xiaomi 17シリーズスマートフォンの広告が表示されている様子 Photo:VCG/gettyimages
地面に置かれた無数のねずみ花火。一つに火をつけると、次々と燃え広がり激しく火花を散らす。やがて全てが燃え尽きる――。かつてSNSで話題になったこの動画は、中国IT業界の縮図のようだ。スマホ、シェアサイクル、EV、そしてAI。新しい分野が生まれるたびに数百の企業が参入し、熾烈な競争の末に大半が消えていく。だが生き残った企業は、世界を脅かす存在へと変貌する。中国市場という最新の戦場ではどんなことが起きているのか?日本とはまったく違う競争の有り様を紹介する。(中国アジアITライター 山谷剛史)
中国企業はなぜ「パクる」のか?
SNSを眺めていて、かつてXがTwitterだったころに話題になった中国の動画を思い出した。「中国のインターネット業界はこんな感じ」というタイトルで、花火を題材にしたものだ。この動画を日本語にしてTwitterで紹介したところ、多くの反応があった。内容はこうだ。地面にレンガを置いて四角く囲み、その小さな空間にたくさんのねずみ花火が置かれている。そこに着火したばかりの元気なねずみ花火をひとつ入れる。すると次々に火が付いて暴れまわり、空間は火花が飛び交い活気づくが、最後には全てが燃え尽きる。
アメリカで新しいサービスや製品が登場した後や、中国である企業が新製品を出した後には、中国では数え切れないほどの企業が模倣した類似製品をローンチ(要は「パクる」のだ)する。そっくりさんが乱立し、あっという間に競争が激化して価格競争になることが珍しくない。その様子はまさに無数のねずみ花火に同時に火が点いて暴れまわるようだが、違う点が1つある。大抵の場合、燃え尽きずに生き残った企業はとんでもなく強くなるのだ。







