売れる人と売れない人の差はどこにあるのでしょうか。今回は、2人の営業マンが登場します、この実際にあったケーススタディから、何を学べるでしょうか。ご自身の営業活動に照らし合わせてみてください。売れる人がやっていることは、もっともわかりやすい手法です。そこが接点となり、お客様との長いお付き合いが始まるのです。
7月17日発売『セールスは1分で決まる!』連載第7回。

売れる営業マンと売れない営業マンの違い

「一生懸命勉強し、商品知識を身につけてお客様に話をしているのに、売れないんです。私は営業力がないのでしょうか?」という悩みをよく聞きます。

 何とかして少しでも売上を上げたい、これはすべての営業マンの願いです。

 確かに、良い商品だからといって必ず売れるとは限らないし、ただ置いているだけで商品が売れる時代でもありません。

 覚えてきたことを順番通りに話して、お客様は買ってくれるでしょうか。
私の会社が扱うフランスのエステブランドには、数十種類の商品があります。

 私は、すべての商品について資料を見なくてもくわしく説明できるくらい勉強していますが、初めてのお客様への説明は商品1点だけです。

 それは、日本でも世界でもそのブランドの中で一番売れている商品だからです。一番売れている商品は、当然お客様に気に入っていただける確率が高いのです。

 まず、一つの商品を使っていただくことが大切です。

 初めて商品を購入する場合、何個も同時に買うことはほとんどありません。これは化粧品に限ったことではありません。

 以前会社に来た、2人のコピー機の営業マンの話です。

 一人は、すごく分厚いカタログを持ってきて、「宮崎社長、弊社にはこんなにたくさんのコピー機があるんですよ」と、一つひとつ説明を始めました。

 もともと、コピー機にくわしくも興味もない私が、次から次にコピー機の説明をされても楽しく話を聞けるはずがありません。

 聞いているうちに、何がいいのか、どう違うのかがサッパリ分からなくなってきました。分からない話は疲れます。

 結局、その営業マンが置いていった分厚いカタログを再び見ることはありませんでした。

 もう一人の営業マンは、「宮崎社長、このコピー機はわが社で自慢の商品です。他社にはない機能がついていて、今、最も売れている人気の商品です」と、社運をかけて作ったというコピー機の話を1時間して帰りました。

 同じ1時間で、前者の話は私の記憶に何も残りませんでしたが、後者はコピー機の特徴がよく分かりしっかり心に響きました。

 皆さんなら、どちらのコピー機に決めますか?

 もちろん私は、後者の「一番人気のコピー機」に決めました。

 お客様がどれか一つでも気に入ってくれるのではないかと、自社の商品をすべて説明する営業マンがいますが、これではお客様は決められません。

お客様は商品のプロではないのです。お客様に商品を欲しいと言ってもらうには、「これがお客様におすすめです」と、プロとして的を絞ることが大切です。その的が「一番売れている商品」なのです。

 一番売れている商品には、当然売れる理由があります。他社の商品との違い、開発秘話、お客様の声、さらにはこれまで何個売れたという実績までもがセールストークとして使えます。

 お客様は、誰も買わない商品より「売れている商品」が好きです。売れている商品をさらに売ることは、そんなに難しいことではないのです。

「たくさんの人が良いと言うなら、この商品は素晴らしいに違いない」
「そんなに人気があるなら使ってみようかしら」

 すでに他の人が使っていて評価されている商品には安心感を持つのです。売れているという事実だけで、十分に営業活動となるのです。そして、一つの商品が気に入ってもらえると、会社やブランドそのものへの信頼となり、「他の商品も使ってみようかしら」と、次々に売れていくのです。

 とても効率の良い営業だと思いませんか。私は、自分の営業力だけでなく、いつも一番売れている商品の営業力を借りています。

 新人や結果がついてこない人は、まず売れている商品だけを売っていれば、結果は必ずついてきますし、売れると他の商品も話をしやすくなるので、試してみてください。

POINT

売れてない人は、一番売れている商品だけを売りましょう!
一番になっているのには理由があり、
それがセールストークとなります。