前回の記事では、営業で確かな実績を積んできた経営コンサルタント・石原明氏と「質問型営業」を開発した青木毅氏による、営業にクローザーが少ない現実と、商品・サービスが異なっても売れる人間はどこに行っても通用する人材と話した。後半は、営業に対する誤解を解くとともに、営業力がもたらす可能性を紹介します。 (撮影/熊谷章)
売る行為に怖さを感じる必要はない
石原 企業になぜお金が入ってくるかというと、こちら側が提供した商品・サービスに対して喜んでくれたり、幸せになったりするからです。
この循環じゃないとビジネスは成り立ちません。このサイクルさえ意識していれば、売ることが怖くなくなります。
悪いモノを売っていないのに、なぜかクロージングを怖がる人がいますよね? そういう人に尋ねたくなります。「悪いことをしているの? 良いことをしているでしょ!」と。
青木 そう思えると、売っておしまいもなくなっていきます。質問で相手の欲求を聞いて、そこへ説明しているから、顧客は自ら期待をして買うのです。そうすると、「フォローアップ」も当たり前になってきます。
石原 本来、顧客が買いたいのを邪魔しなければ売れるもの。よく友だちの紹介だから買ったと聞ききますけど、「家なら買うの?」という話。
青木 私の場合は質問して、欲しいものをどんどん明確にしてあげて、「それならこれがいいですね」で十分。それなのに、聞いている途中で、「これなら絶対いいです」と言ってしまうからクロージングできない。お客様の思考の邪魔をしているわけですからね。