無垢の床材だけが持つ柔らかな肌触りと木の香り。珪藻土やしっくいが持つ優れた調湿性能。自然素材の建材はほかにはないぬくもりと機能性を有する。そんな自然派リフォームの注意点をダイヤモンドQ編集部が解説しよう。

  ビニールクロスの壁に、ウレタン樹脂塗装を施した複合フローリングの床材……。そんな住環境で当たり前のように生活してきた人ほど、その違いを感じるだろう。しっくいや珪藻土の壁に、無垢の床材といった自然素材の建材は、柔らかな風合いだけが特徴ではない。安くて施工しやすいことを優先して普及した建材にはない、優れた機能性を有しているのだ。自然素材を使った住宅「エコヴィレッジ」の開発やリノベーション事業を展開しているリブラン(東京都板橋区)宣伝部の三ツ口拓也氏が話す。

無垢床材は、部屋の雰囲気を一変させる

「無垢の床材は生きているので、湿気の多いときは水分を吸収して、乾燥しているときにはため込んだ水分を吐き出す。珪藻土の塗り壁も、無数の細孔が自律的に吸放湿するので、調湿性に優れている」。エコヴィレッジはさらに、小窓や引き戸を採用して風の通り道を確保。成長の速いヘチマなどを“緑のカーテン”として植え、屋上緑化にも取り組むことで、快適な住環境をつくり上げているという。

「生きた素材を使うだけに、メンテナンスフリーではありません。ただ、手を掛けるほど快適な暮らしに結び付く点は大きな魅力があります」

 三ツ口氏が話すように、自然素材はほったらかしでは生きてこない。簡単な例でいえば、コーヒーを床にこぼしたとき。合板フローリングは水をはじくが、無垢の床材ならば放置しておくと染みになる。即座に拭き取るのはもちろんのことだが、対処法やメンテナンス法を学んでおくことが重要になってくるのだ。