――がん専門病院として、病院長が求めるがん研有明病院の将来像は?

 がん研有明病院は、病床数700床、手術室を20室備えており、1年間で約1万例の手術に対応することができます。現在はたとえば胃がんや大腸がんでは、医師1人あたり年間約150例の手術を行っています。通常の大学病院は、全症例でも年間約150例未満のところが多く、これに比較するとがん研では一人当たり非常に多くのがん手術を手がけていることになります。症例別では、大腸がんでは年間約1000例、胃がんで年間約700例となっています。ただし、このような規模の大きい病院は、韓国など海外には珍しくありません。ドイツでは治療が難しいすい臓がんの手術を、年間1000例も行っている病院もあります。

 将来的には、がん研有明病院も、がん専門病院として、早期がんばかりではなく、治療の難しいがんを中心に症例数を増やしていきたいと考えています。早期がんの治療は、一般的な拠点病院であれば十分に対応することができます。これからは、子どもの骨肉腫などのように症例が少なく一般病院では対応に苦慮するがん、治療の難しい再発癌、そして高度の治療技術の必要な、食道がん、肝臓がん、すい臓がんなど、治療を主に担当する病院を目指していきます。

――難しいがんの症例が増えると、死亡率が高まる可能性もあります。

 死亡率が高まるのはある程度仕方がないことですが、難しい症例を安全に治せるところに当院の価値があると思っています。また、病院としては、患者に対してしっかりとした治療を行い、最善を尽くすことが重要ですが、それと同時に合併症の頻度など、治療の質を正確に公表する透明性の確保も大切です。これは勇気のいる決断でもありますが、世界に誇れるがん専門病院を目指して、チャレンジしていきたいと思っています。