ドクターペイント社長 永江伸崇(撮影:宇佐見利明) |
「“ピンクのキャデラックに乗りたい”というお客さんがいれば、探してきます」
自動車リース事業で急成長しているドクターペイント社長の永江伸崇は笑う。
彼が考えついた自動車リースは他社とはひと味もふた味も違う。利用料金は月額固定(基本は2年間のリース)、故障時の費用負担はいっさいなく、維持費(ガソリン、任意保険、駐車場等は除く)もかからない。しかも、どんなクルマでも探し出してくれる。
たとえば、ポルシェなら月12万8000円。BMWのオープンカーなら月8万5000円。2年ごとに乗り換えるならば、ローンを組むより圧倒的に安いから、あっという間に口コミで人気に火がついた。店舗は愛知、三重、神奈川の3県にしかないが、札幌から福岡まで、全国から注文が舞い込んでくる。
この景気低迷の最中にあって、「今も400件のオーダーを抱えている。お客さんの要望に対応し切れていない」とうれしい悲鳴を上げる。
もともと起業に興味があったわけではない。自分が没頭できるなにかを見つけたかった。大学時代にはバイクレースにのめり込んだ。アルバイトで稼いだカネをすべてつぎ込み、練習に明け暮れた。ついにはスポンサーがつくほどの実力になったが、上に行けば行くほど、トップライダーとの力量の差を実感した。
こうと決めたときの決断は速い。レースの世界を諦め、バイクを売って手にした300万円で、起業家を目指すことに決めた。サラリーマンになろうとは、さらさら思わなかった。
とはいえ、当時は大学生。経営の知識も経験もない。少額で始められ、かつ利益率の大きなビジネスを探し、目をつけたのがハンコ店。大学3年生の秋、ハンコ店チェーンのFCオーナーとなった。
譲り受けたときは経営赤字に陥っていた店舗だが、チラシ投函、大学での売り込みなど、とにかくできることをがむしゃらにやった。1年後には黒字化した店舗を売却し、多額のカネを手にする。この間に大学を卒業し、洋服の輸入販売、ペットショップ、飲食店など、儲かりそうだと思えば、手当たり次第に事業を拡大していった。
特に英国製の若者向けアパレル商品の輸入販売が人気を博し、わずか7坪の店で年商1億円を売り上げる。永江は20代前半の若さで3000万円の年収を稼いでいた。