日本は如何に対応するか
独自の利益追求のみでは上手くいかない

 まず、日本独自の利益を追求することは重要である。すなわち、北朝鮮拉致問題、北方領土問題、中韓との関係改善問題などで自己の立場を追求し、新安保法制も早急に実現していくことは、日本外交に課せられた重大課題であることは論を俟たない。ただ、問題解決のためには相手との綿密な協議が必要となるが、現状ではこれらの課題について相手国との間で十分な協議を進めていく環境にはなく、国内だけを見て議論を進めている観を禁じえない。

 新聞報道から見るに、北朝鮮が不明日本人の調査回答を持ってくる見通しはなく、ロシア首相の択捉訪問は看過できないので外務大臣の協議も延期する、日中首脳会談も現段階では見通しがないといった状況のようである。

 これらの問題を、日本の利益のみが充足される形で決着をみるということは、相手がいる以上、可能ではなかろう。また直ちに首脳会談をすればよいという問題でもない。だとすれば綿密な戦略の下で相手との協議が可能な環境をつくり、辛抱強い協議を行っていくことなくして問題解決は図れない。

総合的見地からの外交戦略と
辛抱強い協議が肝要

 朝鮮半島問題について、日本は今回の南北関係の展開を踏まえ、韓国、米国との連携を維持し、中国を巻き込んで北朝鮮との関係を考えていかねばならない。拉致問題は朝鮮半島の平和達成という大きな絵の中でしか解決の見通しが立ちにくいということではないか。とにかく拉致問題が重要という見かけをつくることは、実は問題の解決にも資さないのではなかろうか。

 北方領土問題についても、これだけを切り離して解を求めようと思っても大きく動くことはない。ウクライナ問題での強い立場は維持しつつも、ロシアを東アジアにどう取り入れていくのかということについて、日本は明確なビジョンの下、新思考を持つべきだろう。

 中国との関係についても、日本の安保法制の必要性を言うためにいたずらに中国脅威論を匂わせることが、同国と建設的な外交を進めていく環境づくりに資するとは考えられない。習近平国家主席は9月末に訪米するが、米国も抑止力の維持には努めつつ、経済を中心にした関係強化を図るのだろう。

 日本も中国との実務的な関係を進め、本格的な日中外交を行っていく環境整備を行う必要があるのではないか。外交は、総合的な見地から個々の懸案を見て戦略を構築することにより初めて、展望が開けていくことを肝に銘ずるべきである。