「ハードエッジ」の達人を求める
現在のビジネス界

 クックが優れたCOOであったもう一つの理由は、私が「ハードエッジ」(※編集部注:スピード、コスト、サプライチェーン、流通、資本効率の5つの要素からなる)と呼ぶものの達人だったことだ。

 クック自身はそれを実行の側面と呼んでいる。ハードエッジの実行とは、数字で表されるものを正確に管理することにほかならない。事業のハードエッジを重視する人は、時間どおりに列車を走らせるのが得意だ。意識は利益に集中している。
 話すことと言えば、時間と金と数字のことばかりだ。そんな従業員を、ティム・クックのようなタイプの人間を、世界のあらゆる企業が求めている。

 事業のハードエッジを正確に実行できない企業は、最終的には立ちゆかなくなってしまうのである。