『フォーブス』誌発行人を務め、連続起業家でもあるリッチ・カールガードは「成功し続ける企業」の5つの条件を、全米企業への取材から明らかにした。本連載は『グレートカンパニー――優れた経営者が数字よりも大切にしている5つの条件』からそのエッセンスを紹介する。第3回は、アップルCEO ティム・クックの実践する圧倒的な「ハードエッジ」の重要性がテーマだ。

朝四時半に
社員にメールを送るティム・クック

 2012年9月にアップルが時価総額で世界第1位になったとき──その地位は翌年明け渡してしまった。もっとも、また獲得するかもしれない──、CEOを務めていたのはティム・クックだった。CEOになってまだ13ヵ月。それ以前は2007年から最高執行責任者(COO)を務めていた。

 クックは大企業のCOOとして世界一だと広く認められている。なぜそれほどまでに素晴らしい成果をあげられたのか。

 理由の一つは、クックが仕事の鬼だったことだ(今もだが)。
 たいてい、クックは朝四時半に社員たちにメールを送る。食事をせず、エネルギーバーだけで一日を過ごすことはしょっちゅうだ。日曜の夜にはアップルのマネジャーたちと会議をし(幸いなことに、電話会議だ)、その週のことを話し合う。

 また、何が何でもずば抜けて優秀であろうとし、仲間にも同じレベルであることを求める。
 たとえば、あるマネジャーが中国の工場に問題があると述べたとき、クックは信じられないという顔でそのマネジャーを見つめた。〈きみはなぜ、今ここにいるんだ〉とクックは聞いた。〈すぐに中国へ飛んで、問題を解決してこい〉。そのためマネジャーは荷物も持たず出発したのだった。