だからこそ、生活消費関連の日本企業は、こぞって13億人という巨大な“胃袋”を取り込もうと、中国戦略を強化しているのだ。

 JETRO中国北アジア課長の真家陽一は「最近は非製造業、特に小売り、卸、外食産業で中国進出が増えている」と指摘する。

 しかし、成功しているのは、イトーヨーカ堂、資生堂、平和堂などごく一部でしかない。進出したものの、パートナーに裏切られたり、朝令暮改の法律、商習慣の違いに翻弄されたりして撤退する企業は少なくない。

 ただ、そもそもよその国でカネ儲けをしようとする外資がそう簡単に成功できるはずがない。またリーマンショック後も、成長を続ける中国の消費市場は世界最大の激戦区。欧米、韓国、台湾の企業が群雄割拠するなかで、「生き残るのは日本市場よりはるかに厳しい」と真家は言う。

日本と中国の橋渡し役に
提携企業は2位、3位

 そこで脚光を浴びているのが伊藤忠の取り組みである。

 現地の大手企業グループの持ち株会社に直接出資することで、経営に参画し、中国進出する日本のパートナーとの橋渡し役になろうとしているのだ。

 伊藤忠としても、合弁会社に出資するので、上(持ち株会社)と下(合弁会社)の両面から利益を得られる。さらに川下のパートナーが増えれば、それだけ原料供給も拡大し、調達の際のバーゲニングパワー(交渉力)が高まるメリットを享受できる。

 中国進出でボトルネックとなる物流網についても、中国全土に網を張り巡らせている頂新がいれば百人力だ。頂新と杉杉にとってもメリットは小さくない。来日前日の26日、中国・天津の頂新グループ本部で、魏は出資受け入れの背景を口にした。

 「兄弟でやってきたファミリー企業から、グローバル企業に成長させたい。そのためには伊藤忠から経営手法やリスク管理、内部統制などを学びつつ、日本のパートナーの技術、ノウハウを吸収する必要があると判断した」

 ただ、どんな企業とも組むというわけではない。

 「業界トップの企業にはこちらからは声をかけない。日本での成功体験が邪魔をして、われわれの意見を聞くことができない。中国のマーケットはあまりにも巨大で、しかも変化が激しい。自信を持ち過ぎてしまうと、いろいろなものを見落としてしまう」と魏は言う。実際これまで、日本における業界2位、3位との提携を優先させて、事業を拡大してきたという。