体内の「瘦せ型」細菌にえさをやる

 MCTオイル、なかでも炭素数が最小のカプリル酸(C8)は腸内細菌叢にプレッシャーをかけるので、特にファスティング(断食)中にこれを摂取すれば、脂肪を貯蔵しようとする腸内細菌を妨げることができる。コーヒーに含まれるポリフェノールもまた、瘦せている人に多く見られるバクテロイデス門の細菌のプレバイオティクスとして働く。この細菌はサプリでは増やせないから、えさを与えなければならない。

コーヒーと脂肪を摂ることで、すべての腸内細菌をいったん抑制したあとで「瘦せ型」細菌にえさを与えて増殖させることができる。これが実際、僕自身の腸の分析結果と、完全無欠ダイエット実践者から報告されたユーバイオーム社の検便結果に見られたことだ。

 彼らの体内では、瘦せることに伴うバクテロイデス門の細菌は平均よりも多く、太ることに関連するファーミキューテス門の細菌は少なくなっていた。最適な健康状態のためには両方なければならないが、これらの割合の変化が、エネルギーレベルと体重を管理する能力とに大きな影響をもたらす。

 ラット実験で、コーヒーと高脂肪食(体に良くない脂質も含めて)を組み合わせたところ、体重、体脂肪、肝臓中性脂肪、エネルギー補給が減ったという研究がある。さらに、コーヒーは、望ましい身体組成を促し、ファーミキューテス門とバクテロイデス門の割合を最適化するのにも役立った。短鎖脂肪酸の供給を改善もしたが、これも腸に良いことだ。この研究では、ラットにインスリン抵抗性ができたが、これは長期間にわたって超低炭水化物ダイエットをしている人に見られる現象でもある(完全無欠ダイエットでは、少なくとも1週間に1度は適量の炭水化物を摂ることで、この問題に対処している)。

 コーヒーに加えるミルクをバターに置き換えると、体に良いことがいくつかある。コーヒーに含まれ、パフォーマンスを手助けする抗酸化物質ポリフェノールの一つが、クロロゲン酸と呼ばれるものだ。ミルク、ハーフ&ハーフ(牛乳とクリーム半々)、クリームなどを入れると、乳タンパク質のカゼインをコーヒーに加えることになり、クロロゲン酸は3.4倍も生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)が低下してしまう。

 カゼインは発酵バターにはほとんど、ギーにはまったく含まれない。すなわち、加えるものをミルクやクリームからバターに切り替えれば、あなたのコーヒーの抗酸化物質は3.4倍に増えるのだ! また、すでにご承知のとおりバターには酪酸塩も含まれているから腸が清められ、脳の炎症がただちに低減される。

 完全無欠コーヒーにさらにココナッツのエキスやMCTオイルを加えれば、独自のメリットが生まれる。ただしMCTオイルは、様子を見ながら、ゆっくり加えていくように。急に大量に加えすぎると腹がゆるんで、完全無欠ダイエット実践者が「悲惨なパンツ」と俗にいう事態に陥りかねないからだ。

(※この原稿は書籍『シリコンバレー式自分を変える最強の食事』の「第4章」から一部を抜粋して掲載しています)