コンサルはるかの出番
「もちろん! ようやく出番かって感じ」
はるかは少し身震いするのを感じた。
「で? はるか、ここからどう進める? バトンタッチしていいか?」
「もちろん、社長はもう帰ってもいいくらい(笑)」
「お、頼もしいな。さすがはるかだ。では交代しよう」
「はい」
はるかは昌一郎が手にしていたホワイトボード用のマーカーを受け取り、若干緊張感のある面持ちでみんなの前に立った。
「では、ここからは私に進めさせてください。慣れていないので聞きづらいかもしれませんがよろしくお願いします」
「よろしくお願いしまーす」
会議が始まった時よりも明らかにみんなの声のトーンが上がっていた。昌一郎によるセッションで気持ちが高ぶっているということが、はるかにも感じ取ることができた。
〈さすが昌ちゃん、本当に空気を作るのが上手いな。一瞬でみんなのモチベーションを上げちゃうなんてすごい……〉はるは、そんなことを心の中で強く思った。
「では、よろしいでしょうか。先ほど中川からの話にもありましたが、それぞれの店舗にギャップというものが存在します。これを埋めるところからスタートしなくてはなりません。それぞれの店舗における問題と、全社的・業態的な問題に分けて進めるような流れにしましょう。
全社的・業態的な問題は社長を含めたこうした会議の場で、それぞれの店舗における問題については会議⇒店舗⇒会議という感じでよろしいでしょうか?」
「いいんじゃないかな。基本ははるかちゃんのやり方に任せるから、その流れで大丈夫」
「宇佐美社長、ありがとうございます。では、まず最初にそれぞれのお店のあるべき売上高と利益を出しませんか? 先ほどおっしゃった現状の20%アップというのが必須ですよね。それを踏まえて、これから半年間のあるべき数字を出してもらい、それをみんなで議論して最終的な目標数値にまとめましょう。
よろしいですか? では店舗ごとに分かれて始めてください。どれくらいの時間が必要ですか?」
「ま、手元の資料を見れば数字はわかるので15分くらいで出来るんじゃないかな?」
「はい大丈夫です。出来ますよ」
「わかりました。出来上がったらホワイトボードに書き出してください」