これまで、「値上げで儲かるしくみ」をダイジェスト版でお伝えしました。「値上げ」を理解するのではなく、実行に移すための『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』ですが、よく聞かれる質問・疑問に答えていきます。今回の声は「値上げで成功している企業なんて聞いたことがない」です。

10月29日(木)、東京・目白で1日限りのセミナー開催決定!

<連載公開予定順>
[第一部]
【1】値上げが正しい企業努力です! <公開中>
【2】儲けたいなら、値下げはダメ <公開中>
【3】儲けたいなら、顧客を選ぼう <公開中>

【4】儲けたいなら、価値を見つけなきゃ <公開中>
【5】儲けたいなら、競争のいらない経営へ <公開中>
[第二部]
【6】「値下げ」と「値上げ」、本当に儲かるのはどっち? <公開中>
【7】「BtoB」と「BtoC」、値上げしやすいのはどっち? 

「値上げの成功事例」は表に出てこない

 私はこれまで実に9割以上の顧問先に、値段を上げてもらっています。その効果で売上と利益が格段に上昇し、経営が一気に健全化に向かった会社をいくつも支えてきました。

 2割増しとか3割増しといった程度の値上げではありません。多くの会社が、2倍、3倍、激しいところはBtoBの業態にもかかわらず、10倍以上の値上げを実際にして、成功しているのです(本書ではその方法を解説していきます)。

 ウソのように聞こえるかもしれませんが、これは本当の話です。

 そして、成功している会社は皆さん、喜んでいます。自分の仕事に誇りを持てるようになったからです。やはり儲かってこそ、やりがいのある仕事となることが、はっきりとわかります。仕事にプライドや誇りが持てるようになるには、その価値に見合った値段で売ることができて、しっかりと利益を上げることが必要なのです。

 私はすべての企業が適切な値上げをすれば、その結果、相手を思いやる気持ちの余裕ができ、日本経済の再生につながると考えています。

価値あるものをその価値に見合った値段で売ることのできるビジネスが当たり前になってくれば、社会全体が活性化するのです。成功している会社には、そこまでのことを考えている経営者がいます。

 しかし、そうした「値上げ」によって成功している会社が数多くあるというのに、経済紙やビジネス誌を見ても、「値下げ」や「安く売るビジネス」の情報ばかりが目につきます。

 このところ、値上げを伝える記事も増えてはきましたが、そのほとんどが円安による原材料の高騰で、やむなく値上げをするといった話ばかりです。経営戦略として、意図的に「値上げ」を行った企業の話は、まったくと言っていいほど目にすることがありません。

 なぜだと思いますか?

 それは、値上げして成功した会社がそれを表立って喧伝することがないからです。

 値上げして成功したとは、皆さん絶対に言いません。だから、周りを見渡しても、みんな値下げばかりしているように見えます。しかし、本当にきっちりと成功している会社は、実は「値上げ」をしている、あるいは「高く売るビジネス」をしっかりと志向しているものなのです。