>>(上)より続く

まつい・まさひろ
1979年6月14日生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。工学・教育学の2つの修士号を持つ。国家公務員1種法律職試験合格(政策秘書資格取得)。国連英検A級。マッキンゼーアンドカンパニーなどグローバル企業での勤務を経て、国会議員政策担当秘書として政界へ飛び込む。35歳の若さで、第47回衆議院議員選挙に兵庫10区(加古川市、高砂市、稲美町、播磨町)より出馬し、5万1316票を獲得するも落選。一民間人の感覚で政治の現場や裏側を見た経験を活かし、これまでブラックボックスだった政治の世界をできる限りわかりやすく面白く伝えることに情熱を燃やす。

 維新が与党に寄っているように見えるのは、譲れないビジョンが明確であるがゆえに、仕方ないことだと思う。そもそも民主主義においては、自分が多数の支持を得られないならば、自分の政治理念を実現するためには多数と協力するしかない。このため、徹底抗戦を貫こうとする「維新の党」と、都構想の実現を譲れない「元祖維新」との間で軋轢が生じてしまったのである。

 社民党や共産党は、集団的自衛権には絶対反対の立場である。今の民主党は集団的自衛権には反対の立場をとる政治家が多いだろう。いつの間にか民主党・社会党・共産党が似てきているように見えるのは、筆者だけだろうか。ここに維新の党が合流しようとするものだから、確かに大阪側が抵抗感を持つのも理解できなくはない。

 ここまでの議論を整理すると、軸が2つあり、今の政界再編派は「安全保障」の軸で差別化しようとしているのに対し、おおさか維新の会はあくまで「自助」の軸で差別化しようとしているということだ。

派閥の与党に野合の野党
政党の「正義」は混迷している

 この2つの軸の重要性を比較したとき、正直、安全保障の軸には現実感がない。言い換えれば、ほとんどの国民は明日戦争が始まるとは思っていないのだ。しかし、株価は一夜にして暴落することを人々は知っている。もし、安倍総理が退陣するようなことがあれば、株価が乱高下するだろうことは容易に想像がつく。だから、安全保障の軸に基いて政界再編をやろうとしても、成功する確率は低いと思う。かつては、戦争の記憶が新しく経済が順調だった成長期だからこそ、安全保障の軸で二大政党が実現できたのだ。平和な世でデフレに苦しんできた成熟期に、安全保障を軸として二大政党を実現するのは困難だと思う。

 まして、国政においては選挙が近いわけでもない。もともと小選挙区制度を採用していない参議院議員選挙においては政界再編の効果は限定的である。この点でもダブル選挙を目の前に控えた大阪側が、安全保障の軸で政界再編に勇み足を踏むことにブレーキをかけるのは自然な判断だと思う。

 維新の党と民主党が本気で合流を考えるのであれば、経済政策・財政政策で合意することが必要不可欠である。かつ、その方向性は「自助」であり、財政再建を目的とするものでなければ、自民党と差別化が難しくなるだろう。

 さて、ここまで政党を2つの軸によって分類してきた。だが、現実に分類しようとすると、これがなかなか難しい。わかりにくくしている原因の1つは、政党の看板に隠れて色々な政治思想を持った議員が混ざり合っていることである。