安いけれど、楽しくておしゃれ。
ファッションであれ、家庭製品であれ、デパートであれ、これが最近アメリカの消費者に受けている店のイメージだ。そして、食品スーパーでこの路線を行っているのが、トレーダー・ジョーズというチェーンストアである。
トレーダー・ジョーズは、カリフォルニアを中心に全米に350店舗近いネットワークを持つ。普通のスーパーと違うのは、まさにその名称「貿易商ジョー」が示すところだ。
トレーダー・ジョーズに入ってまず気づくのは、全国ブランドと呼ばれる大手メーカーの商品がほとんどないことである。洗剤しかり、パッケージ食品しかり。
貿易商ジョーは、世界の各地へ出かけて行って、ユニークなグルメ食品を仕入れ、それを格安の価格で店に並べるというのがイメージ。したがって、大手メーカーの流通網に飲み込まれたような自動的な品揃えをするのではなく、トレーダー・ジョーズならではの品選びが、自慢なのである。
たとえば、洗剤は地方の小さなオーガニック洗剤メーカーのものが、何種類も並んでいたりする。食品は、8割以上がトレーダー・ジョーズのプライベート・ブランドもので、全国ブランドものより40%前後安い。
そのプライベート・ブランド食品がまたユニークで、中にはポテトチップスやクッキーなど、全国ブランドと似たような商品もあるが、トレーダー・ジョーズ自身が発案した商品は、なかなか人気が高い。たとえば、ベジタリアンのための冷凍野菜餃子や、ザクロのドライフルーツを一粒ずつ包んだチョコレート。こうした大手のスーパーではなかなか手に入らないユニークなものが、ここでは格安で買えるというわけだ。