「国際貿易構造の変遷は、結局は国際産業構造の調整と各国商品の国際競争力によって左右されるものだ。中国は終始対外開放という基本的国策を堅持し、グローバル経済の一体化とマルチ貿易体制を一貫して支持し、グローバルバリュー・チェーンの改善と発展を奨励していきたい」

「“グローバル規模におけるハイスタンダードな自由貿易区ネットワークの形成”は党の三中全会が決定した重要な政策である。中国はすでにASEAN諸国、チリ、スイス、ニュージーランド、韓国、オーストラリアなど22の国家・地域と14の自由貿易協定を締結しており、また関連諸国と東アジア包括的経済連携(RCEP)や中日韓自由貿易区、および中国・ASEAN諸国間の自由貿易区のアップグレードなどの交渉を展開している」

TPPを見据えて中国政府が
やろうとしていること

 ここから導き出せる“中国政府がやろうとしていること”が3つある。

 (1) 国際貿易システムのルール設定を巡って米国と対立するつもりはないこと

 (2) TPPを国策である改革開放を促進する一環と見なし、取り組んでいくこと

 (3) TPP基本合意を受けて、進行中の自由貿易協定交渉を加速させていくこと

 特に、ASEAN10ヵ国+日本、韓国、中国、ニュージーランド、インド、オーストラリアが交渉に参加するRCEPの合意・促進に中国は一層の力を入れていく空気を、ワシントンDCと北京の地で私は感じている(筆者注:RCEPの概要に関しては、日本外務省が作成した資料を参照)。

「RCEPを例にすれば、交渉が合意に漕ぎ着けた場合、それは世界最大の人口をカバーし、参加国が最も多元的で、経済発展レベルのギャップが最も大きく、最も活力に富んだ自由貿易区となるだろう。RCEP交渉にはTPPに参加する7ヵ国も含まれており、透明性、開放性、包容性が鮮明な特色になる」(高虎城商務相)

 高商務相のこの発言から、中国がRCEPを以てTPPの“対抗馬”にする意思が多かれ少なかれあること、一方で、TPPとRCEPが、枠組み・参加国・地域性という3つの観点から、相互関連性の深い関係にあると認識していることが読み取れる。

 中国政府や知識人たちのTPP基本合意への反応やスタンスをレビューしてきた。ここからは、本連載の核心的テーマである中国民主化研究という観点から、私が現段階で押さえておくべきだと考えるインプリケーションを3つ提起してみたい。