僕が『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか』を書いた理由
まずお断りしておくと、僕自身は灘高校・東大法学部の卒業生です。
学生時代はそこそこ勉強ができたし、「ひょっとして自分は頭がいいのかも……」と思ったことが一度もないと言えば嘘になるかもしれません。
そんな僕も大学卒業後に、広告代理店の博報堂や戦略コンサルファームのボストン コンサルティング グループ(BCG)で働く中で、いやになるほど「敗北」を味わってきました。
いや、自分でガックリくるようなミスや見落としは、いまでもたくさんありますね。
言うまでもないことですが、仕事が「できる」と勉強が「できる」は、まったく別です。
思えば、博報堂の入社試験の段階から、僕の敗北は始まっていました。
「キヨスクのおばちゃんに日本国憲法を読ませるセールストークを50文字以内で書け」
ペーパーテストでこんな問題が出されたのを覚えています。
自分の解答にそれなりの手応えを感じていた僕は、入社後の飲み会で人事担当の方に「あの解答、どうでしたか?」と尋ねたのです。
すると、人事の彼は「ああ、あれね。0点」とだけ言いました。僕が耳を疑っていると、バッチリと目を合わせながら「れ・い・て・ん」と念を押される始末……。
それ以来、「なぜ自分が負けたのか?」「なぜ相手が勝ったのか?」を考える機会が、僕には幾度となくありました。
僕たちはなぜ発想で(つまりは仕事で)勝ったり、負けたりするのでしょうか? みなさんはどう思いますか?
その問いをずっと考えてきた僕が、自分なりにたどり着いた結論が、拙著『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか』のサブタイトルにもなっている「論理思考のシンプルな本質」です。
学歴の壁を突破してライバルに勝ちたいという人、そして、学力はあるのに仕事で敗北を味わい続けている(かつての僕自身のような)人に役立つことを、この一冊に凝縮しました。
ぜひ一度、お近くの書店さんでお手にとっていただけると幸いです。
東京大学法学部、および、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院(MBA)卒業。
博報堂、ボストン コンサルティング グループなどで一貫して新商品開発、ブランディングを含むマーケティング戦略の立案・実行にあたる。
現在、AUGUST-A株式会社代表として、各社のコンサルティング業務に従事。また、アカデミーヒルズや大手企業内の研修において、論理思考・戦略思考の講座を多数担当。表層的なツール解説に終始することなく、ごくシンプルな言葉で思考の本質に迫る研修スタイルに定評があり、のべ1万人以上の指導実績を持つ。
著書に、就活面接本の超定番書『ロジカル面接術』『世界一わかりやすいロジカルシンキングの授業』『出来る人ほど情報収集はしないもの!』などがある。
(第21回へ続く)