東洋のデトロイトと呼ばれるタイには自動車関連など多数の日系企業が進出しており、不動産投資先としても人気が高い。ダイヤモンドQ編集部がその核心をレポートする。
2015年末の発足が予定されているASEAN経済共同体。市場統合による恩恵が最も大きいといわれているのが、陸のASEANの中心に位置するタイだ。値上がりが見込まれる不動産市場には中国、韓国、日本などの外資マネーが流れ込んでいることもあって、分譲マンションの価格はかなり上昇している。
不動産サービス大手CBREのデータによると首都バンコク中心部の新築マンションの平米単価は14年の平均で約56万円、10年前の2倍の水準に跳ね上がっている。
ただ、物件供給が増えて在庫が積み上がっているため、デベロッパーが開発を抑える傾向にあり、今年から来年にかけては新規供給が減少する見通し。アジア不動産情報に特化したウェブサイトを運営するエイリック(東京都中央区)の田中圭介社長によれば、「価格上昇の勢いがやや沈静化している」状況だという。
現地ホワイトカラーの住宅取得意欲も高く、鉄道沿線を中心に郊外で平米単価24万~25万円程度の分譲マンション開発が盛んだが、日本人が投資対象とするならやはり中心部の物件だろう。日本人駐在員の賃貸ニーズが豊富で、購入後のテナント付けが比較的容易だからだ。ちなみに、タイの在留邦人は6万4285人(14年10月時点)、その大部分がバンコクに集中している。