一人の作業員によるずさんな作業が、本当に原因の全てなのか。問題が他の物件に拡大すれば、中古マンション市場は暴落、足元で高騰している不動産市場全体を揺るがす恐れもある。(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)
「第二の姉歯事件になるかもしれない」──。今や、日本全国を震撼させる事態となった欠陥マンション問題。舞台となったのは、三井不動産の大型商業施設「ららぽーと横浜」の西隣に位置する「パークシティLaLa横浜」(横浜市都筑区)だ。
計4棟で705戸を擁する最大12階建ての大型マンションで、販売元は、三井不動産の子会社である三井不動産レジデンシャル。施工の元請けは準大手ゼネコンの三井住友建設だ。
問題が発覚したのは今月14日、横浜市が西側の棟で最大2.4センチメートル沈んでいると発表したためだ。その後の経緯は連日報道されている通りで、最大のエラーを犯したとされるのが、旭化成の子会社で三井住友建設の2次下請けだった旭化成建材である。
今回、問題となったのは、建物を固定するための「杭」。一定の規模の建物では通常、地中深くの「支持層」と呼ばれる固い地盤までドリルで穴を開け、鉄筋コンクリート製の杭を打ち込む。その作業を請け負っていたのが旭化成建材で、同マンションでは合計473本の杭が打ち込まれている。
ところが、そのうち西棟の6本が支持層に届かず、2本は食い込みが不十分だったのだ(問題(1)の図参照)。さらには、穴を掘る際の紙の記録を紛失し、一部を転用して38本分を改ざん。加えて杭の先端を固定する「セメントミルク」の量の記録も、同様に45本分を改ざんしていた(問題(2)の図参照)。それら問題となった杭のおおよその位置については独自取材に基づき、マンションの図面上に示した(下図参照)。