農機メーカー世界4位のクボタがシェアを急拡大させている。売上高3兆円超の最大手を射程に捉えるためには、欧米向け大型農業用トラクターでシェアを奪う必要がある。(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)

「世界の農機メジャーの一角を目指す」。クボタの木股昌俊社長が事あるごとに強調する基本方針だ。

 農機メジャーとは、昨年、売上高が3.7兆円を超えた王者、ジョン・ディア(米ディア&カンパニー)ら世界の強豪メーカーのことを想定している。

 同社に肩を並べ、和製農機メジャーとなることがクボタの将来的なビジョンだ。当面の目標として2017年度に売上高2兆円を目指している。

 足元の業績は絶好調だ。クボタの売上高は11年度からの3年間で57%増え、1兆5869億円まで伸びた。成長をけん引しているのが農機を中心とした機械部門。同じ3年間で機械部門の売上高は70%増の1兆2150億円となった。全部門の売上高に占める割合は8割弱まで高まった。とりわけ好調なのが、海外での農機の販売だ。クボタは東南アジアの稲作や米国の富裕層が楽しむ趣味的な農業など国別のニーズに合った農機を開発し、農機市場での存在感を高めてきた。

 しかし、農機メジャーまでの道のりは遠い。というのも、クボタがこれまで開拓してきたのは、日本主体の135馬力までの農機が中心。世界市場の中では「軽量級」に分類されるものだ。

 世界で戦うには、170馬力ほどの「中量級」、さらには数百馬力の「重量級」の市場を攻略し、この階級で6割以上のシェアを持つジョン・ディアから市場を奪わなければならない。

 その試金石となるのが今年、欧米などで発売した「中量級」トラクターの新シリーズだ。生産は8月から始まっている。クボタの北尾裕一専務は「他社の製品より5%安く、かつ品質と価値では上回ることが“売り”。年内に1000台を生産し、販売するだけの手応えを得ている」と自信を見せる。

 17年度までにこのトラクターを年間3000台販売する青写真を描いている。新シリーズには複数のグレードがあるが、仮に1台1360万円とすると、これまで手付かずだった「中量級」の市場で、売り上げが年間408億円増える計算。同年度までに売上高2兆円、という目標達成がぐっと近づく。

 一般的にいえば、農業の機械化が浸透した欧米は成熟市場である。クボタの14年度の機械部門の地域別売上比率は、北米が36%、欧州が17%であり、すでに全体の半分に達している。

 それでも、クボタにとって欧米市場の伸びしろはまだまだ大きい。現在のシェアは「軽量級」の農機だけの実績であり、農機のボリュームゾーンである「中量級」以上は未開拓地として広がっているからだ。