この4月から新しい中期経営計画が始まった日立建機。建機の開発は、かつて機械工学が中心だったが、近年は“施工の自動化”(ロボット化)に代表されるように電子工学の領域を取り込む必然性が増してきた。その流れの中で、日立建機は、日立製作所グループ内でのプレゼンスが高まっている。グループ全体の営業利益の12~13%を稼ぐ、辻本社長に問題意識を聞いた。
──今年2月11日、建機の需要が急増するブラジルのサンパウロ州に建設した米ディア社との合弁事業(工場)が本格稼働を始めました。「ジョン・ディア」のブランド名で知られる世界最大の農機具メーカーとのコラボレーションは、これで2回目となります。ブラジル工場は、どのような位置付けなのですか。
日立建機とディア社は、1988年に米国における製造・販売の合弁会社を立ち上げて以来、パートナーシップを組んで北米・中南米市場を開拓してきました。もともと、米キャタピラーやコマツなどの競合他社と比較して当社は南米でのプレゼンスが低かったことから、さらなる販売網の拡張を模索するディア社と話し合い、再び一緒にブラジルへ本格進出することにしました。
今後は、ブラジルを“中核拠点”として、南米市場に最もポピュラーな20トンクラスの油圧ショベルを投入していきます。現地生産比率は60%以上で、生産能力は年産約2000台を予定しています。現在、ブラジルでのシェアは、単月で7~8%という水準ですが、そう遠くないうちに20%前後まで引き上げたいと考えています。20トンクラスから始めて、ゆくゆくは前後10トン~30トンクラスの油圧ショベルも生産してラインナップを拡充させていく方針です。