「共通の大きな目標」で、業界内の利害関係は越えられる
そして何よりも大事なのは、「共通の大きな目標」を掲げたことです。
同じ業界内の企業同士の場合、業界内の順位やシェアなど、どうしても「利害関係」が気になり、一致団結することは難しいものです。
しかし、「循環型社会をつくろう」「戦争をなくすために地上資源を循環させよう」という大きな目標を、業界を越えて共有すると、利害を越えた取り組みへと昇華させることが可能になります。一度業界の垣根を越えたら、業界内の順位といったことはどうでもよくなります。
さらに、業界を越えた取り組みに参加することは、それぞれの企業にちょっとした気づきや機会を提供します。
コンシューマービジネスに携わる企業は、扱う商品に違いはあっても、消費者との接点になっているという強い自覚を持ち、消費者との関係をつくるうえで、似たような課題を抱えています。
ただ、業界内に閉じこもっていると、そのことに気づくきっかけがなかなかありません。業界を越えたリサイクルインフラに参加すると、そのことに目が行くようになり、同じテーマで話しあう機会も得られます。
21世紀は環境の世紀とも呼ばれ、ただ「売る」だけの時代は終わりつつある――。消費者と最前線で向きあう小売業界の雄として、イオンとセブン&アイの2社もこうした問題意識を共有しているからこそ、その問題意識に沿った取り組みとして理解されたのだと思います。
イオンとセブン&アイの同時参加をきっかけに、150もの企業・団体でつくるありえないアライアンスが実現しました。残る課題は消費者を巻き込むこと、そしてユニバーサル本社を口説くこと。それでは、誰もが参加したくなる〈ブランド〉をいかにしてつくり、「夢の期日」2015年10月21日にデロリアンを走らせたのでしょうか?(次回は11月4日効果予定)