今年のプロ野球日本シリーズは福岡ソフトバンクの強さばかりが印象に残った。
地元・福岡ヤフオクドームで行われた第1戦、第2戦を手堅く勝利。場所を神宮に移した第3戦こそ東京ヤクルトの山田哲人が3打席連続本塁打という記録的大暴れを見せたこともあって落としたが、第3戦、第4戦を着実にとって4勝1敗で2年連続日本一の座についた。
4番内川聖一がろっ骨骨折で欠場、トリプルスリー男の3番・柳田悠岐も本来の打棒は見せられなかったが、他の選手がそれを補う活躍を見せ、投打がかみ合った危なげない勝利だった。敗れたヤクルトナインもそれを実感したようで試合後、山田は「ソフトバンクが強過ぎました」、畠山も「実力差を感じたシリーズでした」と語っている。今季のセ・リーグは史上まれに見る大混戦で、どこが優勝してもおかしくなかったが、どのチームが日本シリーズに出てもソフトバンクには勝てなかっただろう。そう思わせるほどの完勝だった。
パ高セ低のプロ野球
中でも圧倒的に強いソフトバンクの秘密
この数年、パ・リーグのレベルがセ・リーグを上回っていると語られるようになった。日本シリーズでは連覇のソフトバンクに2年前の東北楽天を加えてパが3年連続日本一。2012年こそ巨人が勝ったが、その前の2年も勝ったのは千葉ロッテとソフトバンクで、この6年間でパが5回、シリーズを制している。
その実力差が露わになったのが、今季のセ・パ交流戦だ。108戦でパの61勝44敗3分。パが17も勝ち越している。そのためセの全球団が勝率5割以下という珍事もあった。
パ・リーグ各球団は2004年の球界再編問題がパで起きたことに強い危機感を持ったという。ファンの支持を得、また観に来たいと思わせるにはレベルの高いプレーを見せなければと考え、営業努力も含め必死でチームの強化に取り組んだ。ドラフトの目玉になる好素材の多くをパの球団が引き当てるという若干の幸運もあったが、地道な努力の積み重ねでパの実力がセを凌駕するようになったのだ。
そうしたパ・リーグにあっても今季のソフトバンクの強さは抜きん出ていた。90勝49敗4分で勝率は6割4分7厘。全球団に勝ち越し、2位の北海道日本ハムに12ゲーム差をつける圧勝だった。強さでセを上まわるパを制圧したのだから、日本シリーズにセのどのチームが出てきても勝って当たり前なのだ。
ソフトバンクのこの強さの秘密は、次々と打ち出す革新的な球団の経営手法にある。チーム強化では2011年から導入した「3軍制度」が効果をあげ始めている。