その思いから脳ドック学会を立ち上げた。脳血管が破裂してから手術すると後遺症が残りやすくなり、しかも治療費が1000万近くかかる。しかし、MRIで事前に梗塞をみつけて手術をすると、予後がよいだけでなく、費用も10分の1の100万程度で済む。

 外科医師でありながらも常に予防医学と患者さんの肉体的、経済的な負担を軽減することに常に心を注いだ。その思いは、現在のがん治療につながっている。

「中国でもがん告知ができるように」
東アジアのがん治療の発展につくす

 また、渡邉氏は北京大学客員主任教授の肩書も持っている。1991年から北京大学で教鞭をとり、中国の医師育成にあたってきた。中国で教壇にあがり、手術にも立ち会った。

 万博が開催される2010年春。世界最大の都市、上海の浦南医院国際診療部と医療連携を結んだ。渡邉氏は陽子線治療が東アジア全体のがん治療を飛躍的に発展させると確信している。

「すべては患者様のために」。これが身上だ。現在中国でははまだがん告知は行われていない。PETもまだ普及していない。日本だけでなく、中国の患者さんのために「治ります」と笑顔で言えることが夢だ。

 医療ビザの発給を日本政府が検討段階に入ったと発表した。渡邉医師のチャレンジは続く。

≪取材を終えて≫
  渡邉医師の福島訛りの話し方は、妙に耳に心地よかったというのがお話をした印象です。しかも、渡邉先生は顔を必ずあげて、笑顔で話しかけてくださるから、こちらまで楽しくなりました。頼れる医師というのは、患者様を治すだけでなく、そこにいるだけで癒しや勇気をくれるものだと実感しました。

 私は親しい人ががんになったら、迷わず陽子線治療を勧めようと思っています。会社も休まず、メスも入れずがん治療ができて、血圧を計るように、PETなどのがん検診ができる時代がそこまで来ているのです。いいものはとり入れる。患者様にいいことは全てやる。古い慣習や権威、そして国境に捉われない医師に出会えると人生が変わります。「がん」はもう不治の病でない。そう思わせてくれた渡邉医師に感謝です。