「60年以上の間、両岸は異なる発展の道を歩み、異なる社会制度を実行してきた。進路と制度の効果に関しては、歴史によって検証され、人民によって評価されるべきだ。両岸はそれぞれの発展進路と社会制度に関する選択を尊重し、これらのギャップが両岸交流・協力を妨げたり、同胞の感情を傷つけないようにすべきだ」

「我々は台湾の同胞が国際活動問題に参加したいという考えと思いを理解・重視し、実際に多くの関連する問題の解決を推進してきた。“二つの中国”・“一中一台”という局面を生まないのであれば、両岸は実利的協商を通じて実情に即した合理的措置を取ることが可能だ」

 台湾はこれまでも“国際空間の拡大”、すなわち国際機関・活動への主体的コミットメントを“国策”として掲げてきたが、習近平の発言は、中国側のボトムライン(中国語で“底線”)である“1つの中国”という枠組みの中でなら台湾側の望みを可能な限り尊重していく用意があることを示している。蔡英文主席率いる民進党の躍進が予想されてきた2016年の総統選挙を睨み、経済的妥協をしてでも政治的底線を締めておきたいという共産党指導部の懸念がにじみ出ている。

中国側が最も譲歩したのは
中国と台湾の「歴史認識」

 3つ目が、中台間の歴史認識問題に関してである。

 習近平の次の発言に注目したい。

「今年は全民族抗日戦争勝利70周年であり、これは巨大な民族的犠牲によって得られた勝利である。両岸は双方の史学界が手を携え、史料を共有し、史書を共同執筆し、共に抗戦の精神を掲げ、民族の尊厳と栄誉を死守することを支持・奨励すべきである」

 私は今年9月3日に北京で開催された“中国人民抗日戦争兼反ファシズム戦争勝利70周年記念式典”兼軍事パレードを扱ったコラム「中国『抗日軍事パレード』から透けて見える6つの問題点」にて、中国と台湾、共産党と国民党の間で、当時の“抗日戦争”をどちらが主導したのか、両党はどのように闘ったのかを巡って深い溝と立場の摩擦が存在してきたこと、そして中国共産党が昨今の対内外プロバガンダにおいて「抗日戦争の勝利は中国共産党による正しい領導によってもたらされた」(中国中央電視台CCTVなど)と宣伝されていることに、台湾サイドが不満や抗議を露わにしている現状を描写した。

「習近平は抗日戦争の歴史認識をめぐって、台湾・国民党側の主張や立場を考慮し、ある程度尊重しようとしている。“共産党が正しく主導した”などという事実からかけ離れた主張を続ける限り、国民党との距離は縮まらないことを知っているからだ」