少し離れた間柄の人にこそ
打ち明けられることもある

 電話で聞いた会話は要約ではなく、ニュアンスや言葉遣いの変化もわかるように、あえて聞き書きにしているのも特徴だ。

「聞き書きのほうが臨場感が伝わりますし、親御さんの変化を察知しやすい。同じことを繰り返し言っているとか、最近言動がおかしくなったなど、ニュアンスがつかみやすいんです」(同)

 “暑いですねえ。今日は、もう30度を超えてますよ。まったく。
雨のあとだから蒸し暑いですねえ。でも、うちのほうくらいの山になると、夜は20度くらいまで下がって、温度の差が激しいんですよ。今朝方、風邪気味だったので病院に行ってきました”

 こういった話し口調の聞き書きレポートは、その日のうちに家族へ送信されるので、何かあればすぐに対応可能だ。「詳しいレポートが届くので母のことを考える時間がふえた」「日常の様子がわかるので電話をかけても会話が弾むし、電話の回数もふえた」。サービスを利用する家族からは、こんな感想が寄せられる。

 例えば、お金のこと、近所とのトラブルなど、家族には打ち明けづらい話題をさりげなく聞き出せるのも、専門的な訓練を受けたコミュ二ケーターだから。少し離れた間柄だからこそ、率直に言えることは少なくないのだ。

「会話をしないと生活パターンが同じになりがちなんです。日常生活は話題を共有する相手がいないと楽しくない。実際、サービス利用前は消極的だったお年寄りも、だんだん話すことが楽しくなり、心待ちにしている方も多いです。スーパーで弁当を買う毎日だったのが、近所の中華料理屋へ行くようになったり、アクティブになっていく。話すことによって元気を取り戻し、感情を表現するようになって、結果として行動するようになるんです」

 会話は、声を出したり、相手の反応を伺ったりと脳の活性化につながると言われている。特に認知症の予防策としては無視できないことだ。適切な治療を受ければ、進行を防ぐこともできる認知症。親御さんと離れて暮らしていたがために発病に気づかなかった、という事態を防ぐためにも、日々の確認をしておきたい。未病の段階で対処できれば、リスクを抑えることもでき、ひいては急増する医療費削減の一助にもなるはずだ。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R)