初めて目にした50回目の
「オールトヨタTQM大会」
12月1日、名古屋市にある名古屋国際会議場には、朝からトヨタグループの社員が続々と集まり、終日熱気に包まれた。「第50回記念オールトヨタTQM大会」が同会場で開催され、トヨタ自動車をはじめグループ企業や取引先企業300社から4300人が集結したのだ。
オールトヨタTQM大会のTQMとは、「トータル・クオリティ・マネジメント」の略で、製品品質やサービス品質だけでなく、それを生み出すための仕事の質を向上させるための、広義の品質向上の取り組みである。今回は「第50回記念」と銘打たれたように、同大会は1966年の「第1回オールトヨタ品質管理大会」以来毎年開催されており、1995年から現在の名称となったが、半世紀の歴史を数える。
今回の大会テーマは「伝承と変革~知りたい事例が必ずある!」。張富士夫・トヨタ自動車名誉会長による特別講演「トヨタのものづくりと人づくり」を皮切りに、ステージ事例32件、ブース事例80件、計112件の改善事例が発表された。大会の締めくくりに豊田章男・トヨタ自動車社長ら8名のグループ・取引先各社のトップがセンチュリーホールの壇上でリーダーズセッションを行った後、事例発表者も壇上に並び、全員で「もっといいクルマをつくろうよ」と大合唱して閉会した。
今回筆者は、この「第50回記念オールトヨタTQM大会」を取材する機会を得たが、張名誉会長の講演をはじめ、熱気溢れる各社の事例発表会場を実際に見るにつけ、トヨタの「強みの源泉」を改めて再認識させられた。その強みとは、トヨタ自動車だけではなく、ダイハツやデンソーなどのグループ企業、取引先サプライヤー、販売店などと一体化・連動し、TQMの共有を愚直に繋げていく姿勢であり、実践であった。大会の一部始終をあますところなくお伝えしよう。
「第50回記念オールトヨタTQM大会」の皮切りは、張富士夫・トヨタ自動車名誉会長の特別講演だった。張名誉会長は「トヨタのものづくりと人づくり」をテーマに、張氏らしく体調不良を押しながら、時間を延長してまで熱弁を奮った。
張名誉会長は、カンバン方式など生産管理のあり方を世界的に有名にした「トヨタ生産方式」を体系化した大野耐一・元副社長の薫陶を受けた人である。大野氏や大野氏の一番弟子の鈴村喜久雄氏の直属の部下としてのキャリアから始まり、自らが現場で実践した「カイゼン(業務改善)」の極意を語り、時代の変化・環境の変化に対応することの大切さを強調。かつ、活動を担う人づくりが重要であることを訴えた。
次に述べるのが、張名誉会長特別講演の要旨である。