通知表を持ちながら話をする保護者と子ども写真はイメージです Photo:PIXTA

子どもの将来を思えばこそ、進学や就職につい助言したくなるのは、自然な親心だろう。しかし、その関わり方を一歩間違えると、子どもの自立を妨げてしまうリスクがあるという。親は子どもの人生にどこまで関わるべきなのか。アドラー心理学から、その適切な距離感を考える。※本稿は、心理学者の岸見一郎『アドラーの教育論 対等と自立』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。

親が人生のレールを敷いても
子どもは自立できるのか?

 どんな人生を生きるかは子どもの課題であり、子どもが自分で決めるしかありませんが、親として何か子どもの力になれることはないかという相談を受けることはよくあります。親ができることはあります。しかし、次の2点に気をつけなければなりません。

 まず、親だからといって子どもの課題にいわば土足で踏み込むことはできないということです。次に、教育の目標は自立であることを知っていなければならないことです。

 子どもは1人で生きていけないので、親の協力が必要です。しかし、親が子どもに協力する際には、誰の課題なのかわかっていなければなりません。子どもの課題であるとわかっていれば、子どもが自分の課題を解決することに協力できますが、子どもの課題なのに親の課題だと思っていれば、ただ親が子どもの課題を代わるだけで協力することはできません。そうすることは子どもの自立を妨げることになります。

 このことを理解していれば、本来子どもの課題であっても、親子の共同の課題にすることはできます。問題は、共同の課題にできることを知った親が、どんなことでも共同の課題にできると考えることです。