マンガ家・一条ゆかり氏マンガ家・一条ゆかり氏 Photo:SANKEI

『デザイナー』『有閑倶楽部』など、数々の名作を生み出したマンガ家・一条ゆかり。評論家の長山靖生氏は、一条作品の魅力は、メロドラマとしての面白さだけでなく、誰にもマネのできない圧倒的な独自性にあると指摘する。そんな彼女の創作哲学に迫る。※本稿は、評論家の長山靖生『恋愛少女マンガ全史――ラブコメと若者文化の変遷を探る』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。

中学時代からマンガを描きはじめ
メジャーデビュー後は看板作家に

 少女マンガにおける「女の一生」物といえば、多くの人が最初に思い浮かべるのは一条ゆかりではないでしょうか。

 一条は『デザイナー』(『りぼん』74年2~12月号)で美しい女性が、西谷祥子的な自助努力によって、既存の格差社会(階層格差、男女格差)に立ち向かう姿を、よりリアルに悲愴感を込めて描きました。

 一条ゆかり(本名・藤本典子)は1949年9月、岡山県玉野市に6人兄姉の末っ子として生まれました。中学生の頃からマンガを本格的に描きはじめ、高校1年の時には貸本マンガの単行本『雨の子ノンちゃん』(若木書房)を出しています。

 1967年には第1回リボン新人漫画賞に投じた「雪のセレナーデ」で準入選し(同期に弓月光、もりたじゅん)、翌68年に同作が『りぼん』に載ってメジャーデビューとなりました。

 デビュー当初から絵の美しさでは定評があり、弓月光とは互いにアシスタントを務める友人となりましたが、一時は弓月が仕事の多い一条のチーフ・アシスタント的なポジションについたこともありました。