身の毛もよだつ
福島の海岸沿いの「ドローン」空撮

 双葉町は爆発した原発のある町ですが、メインストリートには、崩れた家がこんな姿で、まさにゴーストタウン──死の町です。

 これは、原発事故から2年以上が経っていた時に、私が危険地帯に入って撮影した写真です。

 県内には、至る所に除染した放射性物質を入れた黒い袋=フレコンバッグがぎっしりと積まれていました。

 福島県内に10万個の除染袋があるのではありませんよ。10万ヵ所のそれぞれに、何千何万という数のフレコンバッグがあるのです。

 これからいったいどうなるのか?
 住宅の前にもどっさり積まれています。
 こんなところに住みたいと思いますか?
 こんなところで子どもたちを育てられると思いますか?
 福島県の人口はおよそ200万人ですが、ここに子どもたちがたくさん住んでいる。今年の台風では、川が決壊した豪雨で、フレコンバッグが川に多数流れました。

 このドローン動画は、ダイヤモンド書籍オンラインの第10回で紹介しましたが、衝撃的な映像です。

 これは、外国人がドローンという無人飛行機を飛ばして撮影したものです。
 見てください、これを!
 福島第1原発のすぐ南で、第2原発のある富岡町の海岸にびっしり、黒い袋があります。ここに津波がくれば、どうなりますか? ちょっとした津波でも、壊滅的な状況が想像できます。

 これが今の福島の現実です。私たちが考えているのとは桁違いに、大変なことが起こっているのです。

 この黒い袋の中には、どんぐりのような木の実や、草の種などがたくさん入っていますから、勢いよく元気に芽を吹き、袋を破って外に出てきている! 
 フレコンバッグの寿命はたった3年ですよ。もう寿命を過ぎているのです。
 トテツモナク身の毛もよだつ現実がそこにあるわけです。

 ここまで福島と東京のことを話しましたが、茨城・群馬・千葉県・埼玉でも、深刻な除染状態が続いています。除染は、長野でもおこなわれています。しかし除染とは、放射性物質を移動させるだけのことです。放射性物質がどこかに消えるわけではありません。森林が7割というこの国で、森林は除染もできずに、手つかずです。

 私は今年2015年12月13日に栃木県の宇都宮で講演を依頼されましたが、それは、フクシマ原発事故で放出された放射性物質を集めたものを「指定廃棄物」と、奇妙な名前で呼んで、その貯蔵施設が栃木県の塩谷(しおや)町で計画されているからです。

 勿論、この地図のように周囲には青い線で示される河川がたくさんあり、塩谷町は美しい水源地帯ですから、町民は、猛烈な反対運動を展開しています。

 もうひとつ、この地図にあるのが、福島県に隣接する那珂川町の馬頭(ばとう)処分場で、ここは産業廃棄物の最終処分場です。

 しかし、管理型産廃最終処分場とは、放射性物質汚染対処特措法において 8000Bq/kg以下の汚染廃棄物を埋立てできることになっています。
 したがって、これを根拠にして放射性物質汚染廃棄物を埋め立てる計画が進められているのです。

 指定廃棄物とは、1キログラムあたり8000ベクレル以上の放射性物質のことですが、8000ベクレル以下なら安全だと思う人間がいますか?
 青酸カリを、水に薄めれば、それをあなたは飲みますか?

 このような濃度区分によって、人間を欺こうという目的のために創られた言葉が「指定廃棄物」です。濃度が、人間を愚かにする最初の一里塚です。薄めても、絶対量は、まったく同じではないですか!
 栃木県では、指定廃棄物だけで2015年6月までに1万3533トン発生しています。

 本来は、100ベクレル/kg以上の放射性物質は、トレンチ処分、つまり地底で厳重に管理することになっていました。
 しかし今はなぜか、8000ベクレル/kgという超高濃度のものしか指定廃棄物にしないのです!!

 広域処分によって、自然界の汚染が広がれば、当然、すべての作物・動植物への汚染が起こり、食品汚染が拡大するのですよ。

 福島県では、日本政府が、大量の放射能が積もった、国道6号線と常磐自動車道を開通させてしまったため、大変な汚染を広域に拡大しています。
 医学的には、絶対に開通してはいけない原発のすぐ脇を通る自動車のタイヤや車体に、放射性物質が付着します。その車が全部、東京に向かってきています。ですから毎日、放射能を東京に運んでいるのです。

 こうして今、東京の汚染が広がっているわけです。
 みなさんの選んだのが、狂気の日本政府なのですよ。