──高い利益率のポイントはどこにありますか。

 まず、予約の90%超がインターネット経由で、効率がいい。外国の個人客にも覚えやすくて馴染みやすい、APA(アパ)という名前の効果は結構あると思います。

 この名前は1997年に、アメリカのランドー社という超一流のCI(コーポレート・アイデンティティ)会社に考えてもらいました。JALやANAなど航空会社の通称は3文字で、外国人にも覚えやすい。将来の世界戦略を考えて、同じ効果を狙いました。Always Pleasant Amenity(いつも気持ちの良い環境を)という意味を込めています。

APA HOTEL WOODBRIDGEの客室は38~54平方メートルと広め。ウォシュレットやハイグレードアメニティを新たに導入

 1987年のアメリカでの株価暴落、ブラックマンデーで異変を感じとって、日本のバブル経済崩壊前に手持ちの不動産を売却し、(2000年代半ば以降)底値で都心の一等地を購入しました。そこに建設した新都市型ホテルが今、高稼働であるため、高い利益率となっています。

 一方で、会員からの「ポイントの貯まるホテルが地方都市にもあったらいいのに」という要望に応えるため、2011年からFCやパートナーホテルのシステムを始めました。当社が大都市圏以外で、土地や建物を購入して新たにアパホテルを建てる方法では投資効率が悪いので、地方では他社のホテルを買収してリブランドしていく方式を取りました。

──巧みなレベニューマネジメントで利益率を高めています。刻々と変わる市場状況を見て、100円単位で室料を変動させていると聞きます。

 当社もタリフ(正規料金)はあります。競合ホテルの空室率と単価を見て、需要が強ければ販売価格を上げていますが、上限は正規料金の1.8倍と決めています。そこまでの価格の上げ下げの裁量は、各ホテルの支配人に与えています。稼働率にこだわらなくてもいいから、RevPAR(稼働率×平均客室単価)を高めることを目標とするように指示しています。

 その結果、成績の良い支配人は評価して、大型ホテルの支配人を任せるようにしています。

──観光需要が急増しているアジアへの進出は予定していないのですか。

 台湾やインド、ベトナム、モンゴルなど、いろいろな国から、進出勧誘の話が来ています。

 アメリカで一定の成果が出たら、すぐに展開します。アメリカの法律で問題のない仕組みが出来上がれば、世界どこへでも進出できます。アメリカでの契約書などを活用できますから、アジアでの手続きは容易だと考えています。だからFCは、アメリカから始めることにしたのです。

 日本では東京で成功することが、世界ではアメリカのニューヨークで成功することが、第一です。

 こうした「一点突破、全面展開」の考え方は、愛読しているランチェスターの理論に基づいています。その結果、創業来44年間ずっと黒字決算で、一人もリストラしたことがありません。

──アメリカ、特にニューヨークで成功して、ブランドを確立できれば、世界で認知されるという意味もありますか。

 物事のあらゆることで、アメリカンスタンダードが世界の基準になっていますが、ホテルもまさにそうです。ヨーロッパで始まった、主人と召使いの関係がゲストとスタッフの関係としてホテルで再現され、今日まで進化しながら1つのホテルモデル、スタンダードとなっている。

 これに対して、「日本発の新たなホテルモデルを世界に広める」というのが私の思いです。日本には、おもてなし文化の根付いた旅館という優れた宿泊施設があり、それを星野リゾートは世界に発信しようとしているのだと思いますが、当社は、冒頭申し上げた新都市型ホテルを日本発の新しいホテルモデルとして世界に普及させたいと考えているのです。

 繰り返しになりますが、核になる考え方は、コンパクトで環境に優しく、高機能・高品質、そしてコストパフォーマンスの良いホテルです。地球環境問題や、豊かになった新興国の旅行者急増などを考えれば、ホテルのあるべき姿はこうなっていくのだと思うのです。