小沢切りは本物か?

 菅直人新首相の内閣が発足した。先週書いたような理由で、鳩山首相が辞任したこと、小沢幹事長を道連れにした「ダブル辞任」であることに驚きはないが、枝野氏の民主党幹事長就任は意外だった。その他の人事も、概ね「脱小沢」の印象だ。

 ことによると、巷間言われる「小沢切り」(小沢一郎氏の政治的影響を排除すること)は本当なのかも知れない。今年は小沢邸での新年会に出席するなど、小沢氏との関係は悪くないと見られた菅氏だが、鳩山前首相共々強すぎる小沢氏の影響の排除にかかったのかも知れない。首相となると、小沢氏の政治資金の問題に深く関係する法務、財務の両省が形上は配下に入るわけで、小沢氏の排除を本気で行うつもりなら、達成できるのかも知れない。但し、その場合、民主党が将来の分裂要因を抱えることになりそうだ。

 もっとも、差し迫った参議院選挙のためには、「小沢切り」を演出することが効果的だろうし、先週末に行われた世論調査は概ね菅氏に好意的な結果で、これは同時に小沢氏の幹事長辞任を評価するものだった。参院選挙が終わってしばらくすると、実は「切ったふり」だったということが分かるのかも知れない。

 政治の世界には、「裏切り」もあれば「豹変」もある。真相の究明は、政治ジャーナリストの皆さんにお任せしよう(上杉隆さん、よろしくお願いします!)。小沢氏も政治家である以上、「静かに」ばかりしていると、政治的影響力が無くなってしまう。そのうちに何らかの動きがあるだろう。こちらは、菅新体制の経済運営に注目する。

 尚、政権運営で一つだけ付け加えておくと、陳情処理なども含めて幹事長及び幹事長室に政策決定を集中する、小沢氏が作ろうとしていた権力集中システムをどうするのかが注目される。表向きの政策の決定については政調会を復活させるなど権力分散化を図るようだが、党の候補者決定と資金という権力の源を握る幹事長(室)をどう使うのかは、大小の経済政策とも関連して注目される。たとえば、昨年の予算編成は、事実上、「小沢裁定」で決着したことが想い出される。