小黒 やはり中国の経済成長が持ち直すのか否か、でしょうか。あとは、欧州がかなり混乱しているところが気になりますね。EUも人口減少に悩んで、国力を維持するために統合をしたわけですけれども、今いろんな矛盾が発生している。その中でパリのテロのようなことが起きて、人の移動にメスを入れなければならないとすると、シェンゲン協定を含め、これはEU統合の根幹に関わる話になってくる。日本も結構輸出しているわけですから、欧州が混乱していると影響がある。

「米国で共和党が勝つと利上げが怖い」
「過去のパターンだとその可能性が……」

──アメリカの利上げの影響はどうでしょうか。

いいだ・やすゆき
明治大学政治経済学部准教授、エコノミスト、株式会社シノドスマネージング・ディレクター、財務省財務総合政策研究所上席客員研究員。1975年生まれ。 東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。駒澤大学経済学部准教授などを経て現職。『世界一わかりやすい 経済の教室』『ゼロから学ぶ経済政策』『経済は損得で理解しろ!』『歴史が教えるマネーの理論』『脱貧困の経済学』(共著)など著書多数。
Photo:Masato Kato

飯田 イエレン議長もそうですけれども、今のFRBは、かなり慎重に、ゆっくりしたペースで金利を上げていくし、何か指標で言い訳になるものがあったら一時的に上げるのを止める、場合によっては下げるということも検討するタイプなので、その点に関してはそこまで心配していません。

 ただ怖いのは、大統領選で共和党の候補が当選したときです。共和党は全員「金利はすぐに上げろ」と言っている。一つそのリスクはあります。

 もう一つ、2016年から18年にかけて、世界経済の火薬庫になるかもしれないのは南米だと思っています。一次産品依存度が非常に高いのに、原油価格が上がるめどがない。鉄鉱石価格も低迷している。日本経済にとって、原油が安いのは直接的には良いことなのですが、一次産品頼みで海外債務が高いなかで、変動金利契約が上がっていくとなると、民間も国もドルで借金をしている南米がリスクになる可能性は否定できない。その意味でも、やはりアメリカは大きなキーですね。

小黒 確かに、アメリカが金利を上げるスピードでは、政治との関係が非常に重要だと思います。大統領選がどうなるかは誰にも分からないのですが、過去の政権交代は「レッド(共和党)→レッド→ブルー(民主党)→ブルー」とほとんど2回ずつになっているんですよ。現状はブルー→ブルーなので、確率としては……。

飯田 共和党は今、エキセントリックを通り越したような人が有力候補者になっていますが(笑)。でもまあ「予備選のときはとにかく目立つ人がトップでも、2つ3つ小さい州の予備選投票が終わるとみんな正気になる」と言われますよね。もっとも共和党は、トランプ氏以外でも、ジェブ・ブッシュにせよルビオ、クルーズにせよ、金利を上げるのは好きそうで、そこは結構怖い。

 そのリスクを除くと、2016年の日本を取り巻く経済環境はまあまあ恵まれています、と。