一方、革新派は「イノベーションとは、そもそもいかがわしいものなのだ」「若い人の挑戦を年長者がつぶしてはいけない」「そうやって古い産業は新しい産業に乗り換えられていくのだ」と擁護する。

 ただ歴史を振り返れば、産業革命以降、資本主義の時代に入ってからは、いつも負けるのは守旧派だ。短期的には「虚業」とバッシングされた産業も、長期的に見れば次世代の主要な産業になっている。革新派の言い分はこれまではまったく正しかった。

 ちなみに、「虚」という言葉は「むなしい」「意味のないもの」という意味だが、「虚数」は英語でImaginary numberと言う。つまり、「虚」とはむなしいものであるとともに、人間の想像力であるとも言えるのだ。

 個人的には、嫉妬心むき出しのバッシングには嫌悪感を覚えるし、常々冷静な視点を持つ革新派でありたいとは思っている。しかし、「こんな仕事、社会のためにならないぞ」と新しい産業に対して疑問を感じることもあるし、若き成功者の発言には「眉を顰めたくなる」ように思うこともある。かつて年長者から言われたとおり、私も虚業と憤りが「わかる」年齢になってしまったということなのだろう。

(構成/大高志帆)

※なお、本記事は守秘義務の観点から事案の内容や設定の一部を改変させていただいているところがあります。