IoTの普及には、ビットコイン技術の応用が不可欠だIoTへの注目度は高いが、その実現・普及には多くの困難がある

 IoT(モノのインターネット)によって、製造業の生産性を高めることができると期待されている。政府の成長戦略も、この方向を追求すべきだとしている。

 しかし、IoTを実際に導入するにはさまざまの困難な問題があると、IBMのレポートは指摘している。それらの問題を解決するには、ビットコインの基礎技術である「ブロックチェーン技術を使うことが不可欠」とIBMの研究者は考えており、具体的な実験プロジェクトを推進している。

ブロックチェーンを用いる
IBMのIoT実験

 IBMとサムスンは、「ビットコイン技術を用いるIoT」という考えに基づいて、冷蔵庫のホームオートメーションの実験を行なっている(これに関する解説は、IBMのサイトCoinDeskのサイトなどにある)。

 この試みは、ADEPTと呼ばれる(ADEPTは、Autonomous Decentralized Peer-to-Peer Telemetry:自律分散型P2P遠隔通信プロセスの略称)。

 順序は逆になるのだが、まずこの取り組みの具体的な内容を最初に紹介しよう。そして、なぜこうした方式が必要かを、その後で説明する。この順のほうが理解しやすいだろう。

 IBMの研究者たちは、サムスンの洗濯機W900を用いてつぎのような実験を行なった。これは、つぎの3つの仕事を、ブロックチェーン技術を用いて自動的に行なうものである。

(1)自動メンテナンス

 洗濯機の部品を監視する。故障が検知された場合、保証の情報を参照し、修理エンジニアに部品交換に来てもらう発注作業を行なう。これらをブロックチェーンを通じて、人手を介さずに自動的に行なうのである。