2016年4月からスタートする家庭向け電力小売りの自由化を受けて、参入者同士の値下げ合戦が早くも繰り広げられている。そもそも電力小売りは本当においしいビジネスなのだろうか?
130社が小売り事業者に登録
有力な新参者は誰か?
これまで、全国にある10電力会社が独占をしてきた家庭向けの電力小売り。それがこの4月、いよいよ自由化される。現在のところ、名乗りを上げた「登録小売電気事業者」の数はなんと130社(1月18日現在)。うち、すでに新料金メニューを発表した業者も10社以上ある。
参入業者の数に驚かされるが、瀧口信一郎・日本総合研究所創発戦略センターシニアマネジャーは「こんな数では済まない。まだまだ増えるでしょう」と予想する。
実は、電力販売の自由化は段階を追って進められてきた。今をさかのぼること16年前、2000年には大口需要家向けに限って解禁。その後、段階的に中規模事業者、小規模事業者向けが解禁された。「特定規模電気事業者(PPS、新電力とも呼ばれる)」に届け出・登録した企業数は802社に上る。
「彼ら全員が家庭向けにも名乗りを上げるとは思いませんが、それでもまだまだ参入したい業者はいるはず」(同)
大口需要家向けの方が、料金回収の手間もかからず、たくさん買ってもらえることから、新規参入者にとって魅力が大きい。家庭向け小売りの自由化が、大口向けに16年も遅れた理由の1つに、「手間がかかる割に儲けが少ない」と新規参入者たちから不人気だったことが挙げられる。
しかし、今は一転して乗り気の事業者が増えている。彼らに共通するキーワードは「消費者にアクセスを持っている」こと。つまり、新規参入を表明している石油元売りやガス会社、携帯電話会社、ケーブルテレビ会社、コンビニなどはいずれも、消費者との接点が密だ。こうした事業者なら、契約や料金回収、さらには自社サービスとのセット割など、家庭向け小売りを進めやすい条件が揃っている。