トップダウンで失敗した京都議定書
COP21は「全員参加」が焦点に
「気候変動枠組み条約第21回締結国会議」――その正式名称からも分かるように、COP21は、地球温暖化対策に取り組むための国際会議。特に21回目のCOP21は、世界各国が2020年以降に向けた新たな枠組みを合意するという、大きなイベントだ。
1997年に採択された京都議定書はその後、多くの問題を抱えた。たとえば当時、世界第1位のCO2排出国だった米国の離脱(2001年)。そして、中国など新興国からのCO2排出量が激増したことで、「先進国だけがCO2など温室効果ガスの排出量削減義務を負う」という京都議定書の合意では対応できない状況となってしまったのだ。
過去の失敗を踏まえてCOP21が目指す合意はどんなものなのか?最大の違いは、京都議定書が先進国のみに削減義務を設定したのに対して、COP21では先進国のみならず、途上国も削減目標を設定するという点だ。
また、京都議定書は国連が先進国に排出許容量を割り振った、いわば「トップダウン型」だったのに対して、COP21は、あくまでも各国が自分たちで自国の削減目標を定める「ボトムアップ型」だ。「それでは緩いのではないか?」と疑問に思うかもしれないが、トップダウンで義務を課し、未達成の場合には罰則も伴うという厳しい京都議定書のスタンスが、前述したような米国の離脱を招いた。「排出量世界1位、2位である中国と米国で、世界の約4割の温室効果ガスを排出しています。そして第3位のインド。こうした国々が抜ければ、そもそもCOP21合意そのものが成り立ちません」(大澤秀一・大和総研経済環境調査部主任研究員)。
ちなみに、日本の排出量は世界の約3%。日本が必死になって半分に減らしても、たったの1.5%の削減効果でしかない。それよりも、排出量の多い国が少しがんばった方が、効果は大きい。そのためにも、まずは全員で合意すること、そして、その後も離脱だけは避け、何があっても議論の土俵に全員がのり続けることこそが重要なのだ。