覚悟を決めた社長の8割は、内心、「自分の考えと、小山昇の考えは違う」と思いながらも、シブシブ私に言われたとおり実行します。

「自分で考えても成果が出なかったのだから、成果が出ている小山昇のやり方を取り入れてみよう」と考える社長は、その後、大きく変わります。

 有限会社宮川商店(飲食業)は、東京・大手町、四谷、豊洲の一等地に「やきとり宮川」をかまえています。
 外食産業冬の時代に、前年比で2ケタ成長を続ける優良企業です。

「やきとり宮川」が立ち直れたのは、星浩司社長が「自分を捨てることができた」からです。

「もともとからっぽだっただけです(笑)。からっぽだから、何を聞いても恥ずかしくありません。小山さんにどんどん質問して、教えられたとおりにやっただけです」(星社長)

 赤坂地区の再開発にともない、溜池山王店が立ち退くことになったときも、私はこう言いました。

「星さんでは、立ち退き料の交渉はうまくいかない。向こうはプロ中のプロが交渉に出てくるから、あなたみたいなペラペラな社長では太刀打ちできない。でも大丈夫。私に言われたとおりにやりなさい。大事なのは、宮川の溜池山王店がお客様に愛されているということを、担当者にわからせることです」

 そして星社長は、「私の言うとおり」に立ち退き交渉を進め、予定していた額の「2倍の立ち退き料」を手にすることができたのです。